病気を遠ざける「免疫力」は腸で作られるため、腸内環境をよくする食品をとることが重要、というのは、81歳の免疫専門医である藤田紘一郎氏の弁。いわく、健康長寿のために勧める食品には、野菜、発酵食品、肉や魚の骨から出るだしなど。それらの食品をスープでとるメリットは、体調が悪くても年をとっても体に吸収しやすいことです。
ウィズコロナの時代を生きるすべての人に手に取っていただきたい最新刊『免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』では、著者自身も毎日飲んでいる究極のスープはじめ、おいしく続けるための73レシピを紹介している。
この連載では、自分で免疫力を高める食事の法則や、著者が勧める『長寿スープ』のレシピなどをお伝えしていきます。
腸を強くすると
ストレスにも強くなる
気分や感情をコントロールして、幸福感や安心感をもたらす神経伝達物質があります。それが「セロトニン」。セロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、人間の体内に10mgほど存在しています。
このセロトニンは、約10mgのうち、およそ90%が腸に存在しています。残りは血液中に約8%、脳に約2%となっています。脳ではなくて腸に多いのは、腸でセロトニンを合成しているからです。
セロトニンは体内で、食品中のトリプトファンというアミノ酸から作られます。それならトリプトファンをたくさんとればいいかというと、そうではありません。セロトニンの合成には腸内細菌が大きく関わっており、腸内細菌のバランスがよくないと、セロトニンを充分に合成することができないのです。
つまり腸内環境がよければ、セロトニンが充分に分泌されるため、心の状態は安定して、幸せを感じやすく、腸内環境が乱れれば、セロトニン不足となり、イライラや不安に襲われやすくなります。
腸の強化は、心や感情の安定にも大切なことなのです。
本原稿は、藤田紘一郎著『免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』の冒頭からの抜粋です。『免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』では、腸内環境を整えて免疫力を高める「長寿スープ」のレシピがたっぷり収録されています。ウィルスが蔓延するこの秋冬、免疫力を高めて病気にならない体を手に入れてみませんか?(次回に続く)
1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了、医学博士。テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。
専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で、日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。
おもな著書に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三笠書房知的生きかた文庫)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』『ヤセたければ、腸内「デブ菌」を減らしなさい!』『免疫力』(以上ワニブックスPLUS新書)などがある。