私が駆け出しのコンサルだった頃、クライアントの役員から衝撃的な一言を頂戴したことがある。その時、私は面と向かって「コンサルはしょせん虚業、本来ならば社会には不要な職業だ」と言われたのである。

 確かに、コンサルは食品や飲料、生活に必要な機械類や物資を作ったりはしない。素材やエネルギーも供給しないし旅客や運輸などの物流なども行わない。人の健康を守ったり、癒やしの時間や空間を提供したりするわけでもない。こうした企業にアドバイスをしたり施策の実行を支援したりというのがコンサルの生業である。

 事実、その頃の上司はよく「コンサルの仕事は紙と鉛筆があればできる」と話していた。それはやがてワープロやPCに置き換わったけれど、本質的な部分は今でも変わらない。本質とはすなわち「アイデアを提供し、その品質で勝負する」のがコンサルの本分だということである。

コンサルは
社会には不要な職業なのか?

「コンサルは本来ならば社会には不要な職業なのか?」

 自問を続けた私はやがて「コンサルはやはり本来は社会には不要な職業だ」という結論に至った。しかし、一方で「それでも我々を必要とし報酬を支払ってくれるお客様がいるのだから、そうしたお客様に対してはプロとして真摯(しんし)に仕事に取り組もう」と決意し、矜持をもって仕事を続けてきたのである。

 これはある種の開き直りかもしれないが、このような結論に至ったのには訳がある。「コンサルは不要だ」と言った役員は、実はその発言に続けてこうも言ったのである。「それでも我々は御社に高い料金を払って仕事を依頼する。なぜなら自分の会社にはこの仕事をできる人材がいないからだ。そのことを肝に銘じてこのプロジェクトに取り組んでもらいたい」と。

 以前(過去記事『外資系コンサルで「若手人材の成長」がやたらと早い理由』)にも書いたが、コンサルは通常の事業会社で10年かかるような成長を数年で成し遂げるといわれていた。

 理由は単純で、通常の会社であれば10年に一度あるかないかという大規模な組織改革や業務変革、基幹システムの再構築などを日々の仕事としているからだ。おおむね1年ないし2年ぐらいのプロジェクトでこうした大規模プロジェクトを実行し、翌日からまた別の大規模プロジェクトに取り掛かる。