菅政権は規制緩和を競争政策へと進化させられるか
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デジタル化は行政のみならず
民間でも進めるべきだ

 菅義偉首相は、行政のデジタル化と、押印を求める規定などそれを妨げる規制の改革を一気に進めようとしています。

 私が20年前に内閣官房IT担当室で作成したe-Japan戦略(日本政府として初のデジタル戦略)では、すべての行政手続きを電子化すると決めたにもかかわらず、20年たった今でもその実現率が1割に満たないことを考えても、また国民全員に1人10万円の給付金を配るのに多大な時間と労力を要したことを考えても、日本の行政のデジタル化は諸外国と比べ恥ずかしいくらいに遅れています。

 従って、菅政権が目指している方向は非常に正しいと言えます。ただ、逆に言えば、行政のデジタル化はやって当たり前のことであり、それをやっただけで、最大の課題である日本経済の生産性を向上させられるわけではありません。

 デジタル化の動きを、行政から、中小企業や地方を含めて民間に広げていく、つまり今のはやり言葉で言えば日本全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることが、生産性を高めるのに不可欠です。

 行政のみならず日本全体が20年間ずっとデジタル化で世界の潮流に遅れてきて、第4次産業革命の果実の取り込みも不十分でしたので、もしそれが実現できれば、過去20年分のツケを一気に解消できるようなパラダイムシフトを起こして、生産性を大きく上昇させることも可能となり得るのです。