横浜スタジアムPhoto by Satoru Okada

スタジアムへの入場制限を緩和し、最新の機器を用いて新型コロナウイルスの感染リスクを調べる実証実験が、プロ野球横浜DeNAベイスターズの本拠地である横浜スタジアムで3日間(10月30日~11月1日)行われた。記者も実際に観客席で実験を“観戦”。大声を出さないようにとの呼び掛けやアプリの動作の限界など、記者が感じた感染対策の効果と限界をレポートする。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

横浜駅ホームからすでに密状態
手指消毒なしですり抜けも可能?

 11月1日の昼下がりに、まるでコロナ以前の通勤ラッシュのような混雑ぶりを見せたのは、JR横浜駅の大船方面行京浜東北・横浜線のホームだ。

 通勤ラッシュと異なるのは、プロ野球横浜DeNAベイスターズのユニホームや帽子を身にまとった乗客がそこかしこにいることである。

 神奈川県や球団、複数の民間企業が主体となり、プロ野球公式戦の観客人数の制限を緩和して感染リスクなどを調べる実証実験が10月30日~11月1日の3日間にわたって、ベイスターズのホーム球場である横浜スタジアムで行われた。

 新型コロナウイルスの感染対策のため、こうしたイベントは会場の収容人数が1万人を超える場合、その50%を観客入場の上限としている。だが今回の実証実験では、3日間で順に観客入場の上限を80%、90%、そして満員まで入れるという条件設定をした。

 そこで、記者が11月1日の横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガース戦のデーゲームのチケットを購入して、実際にスタンドで試合を観戦。同時に、観客席や通路、トイレなどの模様を取材した。

 実験では、スタンド内に設置した高精細カメラでマスクの着用率を調べたり、アプリの位置情報システムで人の動きを記録したりしていた。さらに、スーパーコンピューターを使って、観客の声援などによる飛沫の飛び方を分析するのだという。通常より多い観客数でこれらを調べるため、ツイッターなど一部で「人体実験」という批判の声も上がった。

 横浜駅のホームからすでに密状態だったわけだが、満員の電車から関内駅で下車すると、乗客の大半が横浜スタジアムに吸い込まれていく。入り口の階段では、球場スタッフが「ウイング・内野席 入場列 最後尾」の表示とともに、厚生労働省が開発したコロナの接触確認アプリ「COCOA」のダウンロードを呼び掛ける看板を持って立っていた(下写真)。

COCOAの看板Photo by S.O.