企業向けのリサーチ業務を行う企業調査センターが今年9月からサービスを開始した「Sトク」という事業が話題となっている。「Sトク」とは、企業に代わって採用候補者のSNSの「裏アカウント」を特定し、本人の素行などを依頼先の企業へ報告するサービスだ。ネット上では「今の時代にSNS調査は当然」「プライバシーの侵害では?」と賛否両論ある。同社がサービスを始めた経緯などを担当者に聞いた。(清談社 鶉野珠子)
ウェブ面接の普及で
SNS調査の需要が増加
一言で「裏アカウント(以下、裏アカ)」といっても、その定義はあいまいだ。企業調査センターで実際にアカウントの特定業務にあたる同社部長の角田博氏は、裏アカの定義をこう説明する。
「当社では、1つのSNSで複数のアカウントを持っている場合、『実名以外の名前で登録しているアカウント』を裏アカとしています。本名のアカウントでは当たり障りのない発言をしていても、裏アカではモラルに欠けた発言をしている人も少なくありません。そのため、候補者の人間性をより深く知るために、複数のアカウントを調査するのです」(角田氏)
「Sトク」リリース前から、バックグラウンド調査の依頼は年間5000件以上もあったという。そんななか、裏アカの特定サービスをリリースした理由について、同社の専務取締役である劔持琢磨氏は「コロナ禍でのウェブ面接の普及が背景にある」と語る。