コロナ再拡大でも株価絶好調の「嫌な理由」11月17日、日経平均株価は終値で2万6000円台に回復。29年ぶりの大台に乗った Photo:JIJI

日本を含めた世界中で新型コロナウイルスの感染が再拡大している。にもかかわらず、株式市場は絶好調だ。実は、コロナ禍が深刻な間は株価の落ち込みを心配する必要がないというおかしな状況に陥っている。そしてそれは、コロナによる死者や失業者を「肥やし」にしてエリート層が富むともいえるような、恐ろしき格差拡大の構図を生んでしまっている。コロナと株価の奇妙で恐ろしい関係を解説する。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

感染拡大「第1〜3波」が同時発生
コロナの先行きは楽観できない

 新型コロナウイルスの感染が再拡大している。

 わが国では一般的に「第3波」の流行と捉えられているようだが、地域によっては1日当たりのコロナ感染者数が過去最高を更新している。重症者向けの病床の占有率は今のところ、感染拡大が顕著な地域でも30%前後で余裕があるようにもみえるが、じわりと増えている。感染者と重症者は指数関数的に増加する可能性があり、全く安心はできない。

 おそらくは、気温の低下と「Go Toトラベル」「Go Toイート」キャンペーンの影響で北海道での感染が拡大しており、北海道は札幌市で外出自粛の要請を行うに至っている。東京都、大阪府、神奈川県、兵庫県など都市部の感染者数も高水準だ。

 海外の感染拡大はもっと深刻だ。欧州でもコロナ感染が再拡大している。これは、大きな「第2波」と呼べるだろう。英国やフランスのように、部分的にロックダウン(都市封鎖)に踏み切る国もあり、この段階に至ると経済的な影響も大きい。

 そして、何といっても米国は「第1波」が沈静に向かわないままコロナの感染が継続的に拡大している。感染者数・死者数ともに突出した世界一だ。

 目下、世界の1日当たりの新規感染者数は4月のピークを上回っている。