『週刊ダイヤモンド』10月24日号の第一特集は「株の鉄則」です。コロナ禍に続き、今度は菅義偉首相による「スガノミクス」の大成長戦略が株価を大きく動かそうとしている。流れに乗るための株投資の入門講座とともに、スガノ相場の本命株を徹底解明する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平、山口圭介)

株価に効く!知っておくべき
菅首相の思考とブレーン

スガノ相場で浮かぶ「空運」沈む「保険」、23業界の株式投資“序列”大解剖Photo:PIXTA

 首相官邸の裏手に位置するザ・キャピトルホテル東急3階のレストラン「ORIGAMI」の一番奥まった所にある個室でここ数年、幾つもの歴史的改革案が練られてきた。

 主導してきたのは内閣官房長官時代の菅義偉・現首相だ。菅首相は政治家や官僚をはじめ、若手起業家、トップアナリスト、大手企業経営者など、さまざまな世界のキーマンたちとこの部屋で会合をもつのが日課だった。

 その習慣は首相就任後も変わらず、10月8日には吉田憲一郎・ソニー社長、瀬戸欣哉・LIXILグループ社長らとの会合があったばかり。金融庁の大物長官として名をはせた森信親氏も長官在任時、地方銀行担当の部下と共にここで地銀再編の議論を菅長官(当時)と交わしてきた。

「ORIGAMIなど高級レストランの個室で、朝に2回、昼に1回、夜に2回の会合というのが長官時代の定番。菅さんはアルコールの代わりにペリエを飲みながら、相手の話に聞き入るのが常でした」(官邸周辺)。

 菅官邸に近い関係者は「連日の会合で培った改革派人脈こそが、新政権によるスガノミクス改革で大きな役割を果たす」と指摘する。

 そもそも菅首相は改革志向が強い政治家とされ、政策を具体的に語る点が最大の特徴。「規制改革」「縦割り打破」を掲げ、先の自民党総裁選でも地銀再編、携帯電話料金の引き下げ、不妊治療の保険適用、デジタル庁創設といった改革案を矢継ぎ早に打ち出した。

 それ故、株価に与えるインパクトも大きいとされる「スガノミクス」。まずは、その具体的な中身を考える菅首相の思考回路がどうなっているのか見ていこう。