「うちの子、何をやっても続かない……」。男の子を持つ親なら、一度はそう嘆いたことがあるのではないだろうか。しかし、「飽きっぽさ」は見方を変えれば大きな武器になる。入塾テストなしで難関中学に高い合格率を誇る進学塾VAMOS代表・富永雄輔氏の著書『男の子の学力の伸ばし方』には、男の子特有の「飽きやすいがハマりやすい」という性質を逆手に取り、短時間の集中を積み重ねて学力を伸ばす方法が紹介されている。本連載では、本書の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
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「続けなさい」は届かない
著者は本書の中で、男の子は飽きっぽいが「ハマりやすい」という特徴を繰り返し強調している。
昨日はウルトラマンに夢中だったのに、今日は仮面ライダーが一番かっこいいと言い出す。父親自身にも覚えがあるだろう。
著者によれば、この「飽きっぽさ」は時代とともにますます顕著になっており、小学5年生であっても幼稚園児と変わらないレベルだという。だからこそ、母親だけでなく父親もイライラしてしまう。
しかし、著者はこれを「変えようとしないで受け入れて育てていくしかない」と述べる。男の子は好きになるのが早いぶん飽きるのも早いが、その裏返しとして、新しいものにすぐ熱中できる力を持っている。
問題は、集中が切れたときの親の対応だ。
著者によれば、もともと男の子は自己表現が下手で、「この勉強は飽きたからほかのがしたい」と自分から言えない。
足をバタバタさせたり、よそ見をしたりといった「集中できていないサイン」は出すものの、それを見た親の多くが「もっと集中しなさい」「あと1時間でいいから頑張りなさい」と声をかけてしまうのだという。
だから、「続けなさい」と無理を言うのではなく、その「ハマりポイント」に誘導してあげることこそが必要なのです。(『男の子の学力の伸ばし方』より)
集中が切れた男の子に「続けなさい」と言っても、著者の言葉を借りれば「無理」なのである。
著者が提案するのは、「無理に続けさせる」のではなく、再び集中できるポイントへと子どもを誘導するという発想の転換だ。
10分×6セットで1時間になる
では、具体的にどうすれば子どもを再び「ハマった状態」に戻せるのだろうか。
著者は、一回休憩を入れる、トイレに行かせる、教科を変えるといったシンプルな方法を挙げている。
たとえば、算数の問題を解いていて集中が途切れたら、いったん席を離れさせて国語の漢字練習に切り替えてみる、といった工夫が考えられるだろう。
大切なのは「1時間座らせる」ことではなく、「ハマっている時間」を合計で増やすことだ。
細切れであってもハマった状態での合計1時間のほうが、だらだらと集中できないままに机に向かっている連続1時間よりもはるかに価値があります。(『男の子の学力の伸ばし方』より)
10分しか集中が続かなくても、それを6セット繰り返せば合計1時間になる。著者が示すこの計算は、非常にわかりやすい。
ダラダラと机に向かっている「見せかけの1時間」よりも、短くても「のめり込んでいる10分」を何度も積み重ねるほうが、学習効果ははるかに高いというわけだ。
「飽きっぽさ」を味方につける親の視点
本書が一貫して伝えているのは、男の子の特性を否定するのではなく、理解したうえで活かすという姿勢だ。
飽きっぽいことを叱るのではなく、ハマりやすいという裏側の強みに目を向ける。そうすることで、親の声かけも変わってくるだろう。
「続けなさい」を「じゃあ次はこっちをやってみよう」に変えてみるだけで、子どもの学習は違った展開を見せるかもしれない。
もちろん、すべての男の子がまったく同じ特性を持つわけではない。
著者も本書の中で、男の子っぽい女の子もいれば、女の子っぽい男の子もいると述べている。
大事なのは「その子らしさ」に合わせることだ。自分の子どもが集中できずに困っているという親は、まず「飽きた」を敵視するのをやめ、次の「ハマりポイント」を一緒に探してみてはいかがだろうか。




