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廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

いまだに自前主義を貫く日本のICTベンダーは、
重複する事業を切り出し、統合し、グローバル社会の中で勝ち残るための戦略を今すぐ立て直さなければいけない

廉 宗淳 [イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]
【第9回】 2012年10月2日
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 その自治体では情報システムの導入を検討しており、業務用のソフトウエアは新規で購入するものの、ハードウエアは、別の理由で調達され、倉庫に眠っていた新品のIBMのものを活用したいと考えていました。そこで、当時のアプリケーションベンダーに「Windows Serverが動くマシンなので、御社のアプリケーションを載せて稼働できないだろうか。御社の製品もWindows Serverで動くでしょう?」と確認したのですが、返ってきた答えは「弊社の業務用アプリケーションが動く環境としては、確かに同じです。しかし、弊社のハードウエアでしか動作検証ができないので、弊社のハードウエアに、弊社の業務用のアプリケーションを載せるようにしてほしい」と言われました。数回にわたり、なぜなのか、論理的におかしいのではないかと詰め寄りましたが、結局ダメでした。

 どうして、日本のメーカーは、「自社の業務用のソフトウエアはマイクロソフトのOSで動く」と言いながら、他社のハードウエアではダメで、自社のハードウエアでしか動作保証ができないと言うのでしょうか。おかしな話です。一方、オラクルのRDBMSはハードウエアのメーカーに依存することなく、どのハードウエアでも動作可能だと言います。世界標準と言われるUNIXやWindowsの上で動くのですから当たり前の話でしょう。

 富士通のRDBMSに精通した技術者は、富士通やその関連企業の社員に限られてしまいます。日立やNECも同様です。一方、オラクルのRDBMSであれば、どのICTベンダーの技術者でも操作することができるため、ユーザー企業はより多くの優秀な技術者を使って、開発を進めることができるのです。

 このことは、入札の際にもベンダー側にとって好都合なのです。富士通や日立の業務用のアプリケーションに同社のRDBMSを採用された場合、これらの製品を利用して開発できるのは、同社のパートナー企業や関連企業です。システムを使い続けていくうちに、ベンダーを乗り換えにくくなる、ロックインが生じます。製品選択の幅も狭まりますし、当然ながら独占に近いので、落札価格も高くなってしまいます。

 Oracleであればより競争の原理が働きます。しかし、Oracleと富士通や日立、NECのRDBMSとでは、性能や品質にそれほど差があるとは思っていません。それにもかかわらず、Oracleの知名度が高く、値段も高く、実際に多く売れているということは、性能や品質以外の理由が大きいのではないでしょうか? 実際、筆者が自治体のシステムを調達する際に、富士通や日立、NEC等の和製メーカーのデータベースやミドルウエアの購入を躊躇するのも品質が悪いからではありません。各社のハードウエアの上でしか動作しないから、入札の際に競争の原理が全く働かないためです。

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廉 宗淳
[イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]

1962年生まれ。大韓民国空軍除隊後、国立警察病院、ソウル市役所に 勤務。日本でのプログラマー経験を経て、韓国で株式会社ノーエル情報テック設立。2000年、日本でイーコーポレーションドットジェーピー設立。青森市の 情報政策調整監、佐賀県情報企画監、総務省の電子政府推進委員や政府情報システム改革検討会構成員を務めている。

廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

お隣の韓国は、国連の電子政府ランキングでここ数年、1位が指定席。かたや、日本は順位を下げ続け2012年は18位。韓国の電子政府は何がすごいのか、日本が学ぶべきポイントはどこか。90年代前半に日本でITを学び、現在は、行政、医療、教育などの分野でITコンサルティング事業を展開する廉宗淳氏が、日本の公共サービス情報化の課題を指摘する。

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