混迷を極めた米国大統領選挙。過去にない接戦の結果、バイデン勝利の確率が高まっています(トランプ陣営は負けを認めておらず、1876年以来の下院での投票に持ち込まれる可能性がわずかに残っています)。私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました。トランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボードも務め、米国人のリアルな思考を理解し、米国と世界を動かす原理原則や、彼らが実践しようとしている新しい世界のルールについて日頃から肌で感じています。これら先、世界はどう変わるのか、本連載では私の著書『NEW RULES――米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』で紹介した米国と中国、世界、そして日本の2021年以降の行く末についてご紹介しましょう。連載1回目となる本記事でお伝えするのは、なぜ日本のメディアやビジネスパーソンが、米国の実情を理解できていないかという問題について。その裏側には構造的な課題があります。

日本人が世界の新秩序を理解できない意外な理由Photo: Adobe Stock

 私たちがこれまで生きてきた世界のルールが、根底から変わりつつある――。

 今、世界の大きなうねりを肌で感じている人は、決して少なくはないはずです。

 それにもかかわらず、日本ではピント外れの議論ばかりが繰り返され、なぜ米国と世界がこのように変わっているのか、明瞭に説明できる人がほとんどいないように感じています。

 日本国内で報じられる情報は、リベラルな立場を支持するCNNなど、民主党寄りのメディアの翻訳ばかりです。ドナルド・トランプ第45代大統領を支持する保守的な立場のFOXニュースなど、共和党寄りのメディアがどのように米国や世界を報じているのか、ほとんど日本で語られることがありません。

 つまり日本人は、米国の世論のうちの「片側」しか知らないままなのです。そんな状況で、日本人が米国や世界の本音を知ることはまずできません。

 私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました。

 米国人のリアルな思考を理解し、米国と世界を動かす原理原則や、彼らが実践しようとしている新しい世界のルールについて日頃から肌で感じています。

 だからこそ、私に伝えられることがあるに違いないと思い至りました。

 日本の政府や企業、ビジネスパーソンの多くが、世界を動かす新しいルールを知ることなく、古い価値観にとらわれたままだと、この先の国際競争に大きく劣後する可能性がある――。

 そんな危機感を強く抱いています。