Brexitの裏にあった英国の危機感
この超貧困を避けるため、または超貧困に陥ったため、水や食料のあるところ、さらには生活のできる欧州大陸に、アフリカ民族が大移動を始めるのです。
その人数は現在のように中東や北アフリカの内戦から難民となって欧州に渡ってきている難民の数とは比べものになりません。
2020年にはアフリカでバッタが大量発生し、穀物を食い荒らしつつ移動し、インドをへて中国南端に到達しました。バッタが大量発生するのは干ばつの時です。水不足は、食料不足につながるさまざまな事象を誘引するのです。バッタの大量発生は中国内でも起こっていますから、もしかすると食料不足問題は全世界的な問題になるかもしれません。
気候変動がいよいよ本格化する中、水不足に伴うアフリカから欧州大陸への民族大移動は近い将来、十分に起こり得る目の前のリスクです。
英国のEU離脱の引き金となったのは、短期的に見れば東欧の移民や中東やアフリカからの難民の存在でした。しかし同時に、この先の気候変動によってアフリカなどから大量に押し寄せるであろう難民の存在も大きな危機感となっていたはずです。民族大移動が起こる前に、EUから離脱して難民が自由に入ってこられないように国境を閉ざしてしまおう。そんな思いが英国にあったのは間違いありません。
この先、アフリカ大陸から押し寄せる難民にどう対処するのか。EUとほかの欧州諸国にとっては新型コロナウイルス以外にもう一つ大きな試練が待ち受けています。