もともと、2019年以前にホテル業界は2つの問題に直面していた。それは、「人手不足」と「供給過剰」だ。近年のホテル業界は、稼働が非常にいい施設でも人が足りない状況だった。その一方で、新しいホテルは雨後のたけのこのように出てくる。新しい施設には、お客様もスタッフも取られてしまう。このような問題を潜在的に抱えていながらも、2019年まではインバウンドの好調さも相まって、ホテル業界はそうした課題を見て見ぬ振りをしてきた。そのつけが、まさに来年以降には表面化する。

「人手不足の中での低稼働」――。仮に2019年に年間平均で70%の稼働率であった施設も、3密対策および旅行需要の低迷などで2021年には40%程度にしかならないかもしれない。

 そうなると、2019年と比べてほぼ半分のオペレーション規模となる。つまり、それ相応の体制にしなければ生き残れない。他の業界の方から見れば、人手不足であっても稼働率が落ちればちょうど適正な人件費率になるようにみえるかもしれないが、そんな単純な話ではない。

 例えば、ホテルでは一部の業務を外部委託しているところも多い。稼働率が低い状態では、こうしたコストも軽視できない。実を言うと、人手不足の中でいかに外部委託業務を内製化するかが、最も重要な生き残り策になっている。

 今でこそ多くのホテルで「人件費=直接人件費+業務委託費」とする考え方が一般的になってきたが、中堅以下の施設ではこの点がまだまだアップデートされていないところも多い。この理屈で考えると、PL上で占める人件費の割合は思った以上に大きい。業務委託費を削減すると同時にその業務を内製化する――そのためにはスタッフの業務をマルチタスク化し、シフトの縦割りも廃止しなければならない。すなわち、オペレーションのダウンサイジングが必須となる。

 フロント業務しかやらない、調理しかやらないというのはもはや成り立たず、スタッフ全員でオペレーションに当たる気構えが経営者にもスタッフにも求められる。低い稼働率の中で生き残っていくためには、業務委託費のようなキャッシュアウトを、できる限り縮小しなければならない。

2021年も厳しい見通しの観光業界
GoTo継続は果たして最善策なのか

 政府はGoTo期間延長と共に割引率などを段階的に下げる可能性も示唆している。割引率が下がれば高額商品についての割安感がなくなる。相対的に、これまで高級ホテルや高級旅館のプランのお得感に見劣りしていた、1万円以下の料金体系の施設にも恩恵が広がるかもしれない。ただし、それらの施策も6月までとなるのであれば、影響は限定的だ。