円ドルドル円100円割れは起きるか?21年のドル、ユーロ、豪ドルを大胆に予想する(写真はイメージです) Photo:PIXTA

20年の為替市場の特徴
欧州通貨高・産油国通貨安

 2020年の為替市場では、スウェーデンクローナやユーロなどの欧州通貨がアウトパフォーム(上昇)した一方、ノルウェークローナやカナダドルといった産油国通貨がアンダーパフォーム(下落)したのが特徴的だった。

 欧州通貨は、コロナ危機対応でEUがEU復興基金を設立することで合意し、財政統合を進展させるというポジティブサプライズが生まれたことが大きい。一方産油国通貨は、原油の供給が過剰気味になったところへ、コロナショックで世界的に原油需要が減少したことが重なり、原油価格が他資源価格をアンダーパフォームした影響が大きい。

 米大統領選も、欧州通貨高と産油国通貨安の一役を買った。年後半にバイデン候補が優勢となると、トランプ大統領が掲げていた対EU自動車関税の発動リスクが低下したことが、ユーロやその他欧州通貨の下支えとなった。

 また、環境重視姿勢への大転換を掲げていたバイデン候補が米大統領選で優勢となったことで、原油価格の上昇が抑制され、産油国通貨を買いにくくなったという面もあったかもしれない。

21年の為替市場の焦点
ワクチン、バイデン、米国経済

 2021年の為替市場における最大の焦点は、人類のコロナウイルスとの闘いの帰結と、バイデン次期米大統領の政策、そして米国経済だ。

 世界景気は、コロナショックを受けて20年前半に大きく落ち込んだが、その後、世界各国が大規模な財政・金融政策を打ち出したことで、21年にかけて回復が続く見込みだ。この結果、21年前半の世界景気は、ベース効果により前年比で高成長と高インフレが実現することとなる。

 こうした中、為替市場では投資家のリスク選好の強まりから、資源国通貨や新興国通貨が上昇する一方で、円とドルの両方に下落圧力がかかるだろう。21年後半の世界景気は、新型コロナウイルスのワクチンの効果の程度や、ワクチン投与の広がりの範囲、およびバイデン次期米大統領による景気刺激策の規模や実行性に依存することになる。