11月に入ってから日米の株価は一段高となり、日経平均株価指数も2018年以降3度はじき返された2万4000円台の天井を抜けて2万6000円台に上伸した。アナリストやストラテジストの意見は大きく分かれている。
現下の米国や日本の株価の上昇は、新しい上げトレンドに入ったという強気な見方が勢いを増す一方で、新型コロナ不況で傷んだ実体経済から乖離した「バブルだ」という弱気の見方も根強い。さてどう判断したら良いだろうか。
結論を先に言うと、1年程度までの短期ではバブル的な要素が濃厚で、中規模の反落に対する警戒スタンスが妥当に思える。しかし、長期では米国株も日本株も上昇トレンド基調であり、株式投資を継続することに利がある。そう考える理由を説明しよう。
天井を上抜けた日本株
筆者は昨年11月の本連載で2000年代以降の日本企業の利益率のトレンドに基づいたラフな長期試算として「日経平均で3万円超えになる時期を示すと、やや楽観的なケースで2026年6月、中位のケースで2028年6月、やや慎重なケースで2029年10月となった」と述べた(「日経平均は2020年代に3万円回復か、長期右肩上がりトレンド復活の現実味」2019年11月7日掲載)。
同時に短期中期の変動として次のように述べた。「短期中期の上下動を伴って進むのが株価である。筆者の予想通りに2020年中に日米をはじめ世界的な景気後退が起これば、1ドル90円程度の円高と日経平均で1万5000円(TOPIXで1223)程度までの下落が起こる可能性が高い」。つまり2020年の株価の大きめの反落とそこからの長期的な上昇トレンドを予想した。
もちろん昨年時点で「新型コロナ感染爆発」という事態を予想していたわけではない。主に米国の景気循環、信用循環の観点から、2020年に景気後退への潮目の変化が起こると予想していたわけだが、新型コロナの感染爆発は景気後退への移行を劇的なものにするトリガーになったと考えている。