バイデン氏
米国で着々と進むバイデン政権人事の「落とし穴」とは Photo:Chip Somodevilla/gettyimages

米国では、次期大統領に就任予定のジョー・バイデン氏が、新政権の人事を次々と発表している。浮かび上がってきたのは、女性や黒人など多様性への配慮を強調しつつ、要所に米国の行政・政治を知り尽くしたインサイダーを配した布陣である。堅実に成果をあげようとするバイデン氏の狙いがうかがえるが、究極のアウトサイダーだったドナルド・トランプ大統領とは全く異質のかじ取りには、思わぬ落とし穴がありそうだ。(みずほ総合研究所 調査本部 欧米調査部長 安井明彦)

高い不透明性にもかかわらず
順調な滑り出しのバイデン人事

「米国の歴史の中で、最もしっかりとした政権交代になりそうだ」

 米シンクタンクの政権移行センターは、新政権の発足に向けたバイデン陣営の取り組みを、このように高く評価する。来年1月20日の新政権発足を前に、閣僚などの人事が着々と進められているからだ。

 バイデン氏は、11月11日にロン・クライン氏を首席補佐官に指名したのを皮切りに、11月23日に国務長官(アントニー・ブリンケン氏)を含む外交・安全保障チーム、同30日に財務長官(ジャネット・イエレン氏)を含む経済チーム、12月7日には厚生長官(ハビエル・ベセラ氏)を含む医療・新型コロナウイルス対策チームと、政権を支える主要な人事を立て続けに発表してきた。
 
 政権移行に伴う不透明さを考えれば、バイデン氏による人事の着実な進展は特筆に値する。今回の選挙は、郵送投票の増加などにより結果の判明が遅れた。投票日は11月3日だったが、バイデン氏による勝利宣言は、11月7日にずれ込んでいる。その後もトランプ氏は敗北を認めず、なかなか政権移行の環境は整わなかった。

 大統領選挙と同日に行われた議会選挙の結果も、政権移行の不透明さを高める要因だ。閣僚などの主要な人事は、上院で承認を得る必要がある。どちらの政党が多数派になるかによって、承認の難易度は大きく変わるが、新議会における上院多数派の行方は、来年1月5日に行われるジョージア州の決選投票に持ち越されてしまった。