「親に勧めたい子育て」第1位:親自身が楽しむこと
本郷 3つ目は、親自身が楽しむこと。親が楽しく生きていると、子どもは「ああ、大人になるっていいことだな」ってわかるじゃないですか。
別に出世しなくても、「家族3人でご飯食べに行って、お父ちゃん嬉しそうだなぁ」ってわかったらいいと思うんです。
人生そううまくいくものじゃないけれど、「なんとかなるよ」と思えるか、「人生終わりだ」と悲観的になるかで大きく違うはず。お父さん、お母さんが楽しそうにしていないと、人生に対して否定的になってしまうでしょう? それはマズイと思うんですよね。
加藤 親が楽しそうにしているって、とても大事ですね。でも、ちょうどいまごろ、受験が徐々に近づいてくると、「どこにも受からなかったら、あなたの人生終わりよ」みたいに言ってしまう親御さんがけっこういるようで。親御さんも不安でしかたなくて、そういう言葉が出てしまうんだと思いますが。
本郷 煽っちゃうんですよね、気持ちはわからなくはないけど。でも、なんとかなるんですよ。親がアタフタしてもしょうがない。
昔、ある進学校で、お母さんが先生にこう聞いたっていう話があるんです。
「うちの子はそれなりに勉強しているようなのですが、成績が伸びません。なぜ成績が伸びないのでしょうか?」
そうしたら、先生は何と答えたと思いますか?
「お母さん、子どもは親と同じにしかなりませんよ」って(笑)。
加藤 (笑)。いまそんなことを先生が親に言ったら、大問題になってしまうかもしれませんが。
本郷 そう、いまはありえないけど、そのころはそんなことを言っておおらかにしていた。
つまり、子どもを伸ばすためにできることをしてあげたい気持ちはわかりますが、過大な期待をしないということです。
親が「受験に落ちたら人生終わり」なんていう顔していちゃいけません。人生楽しい、と思わせてあげるようでないと。
1973年京都市出まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、国際バカロレア、教育分野を中心に「NewsPicks」「プレジデントFamily」「ReseMom(リセマム)」「ダイヤモンド・オンライン」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。一男一女の母。膨大な資料と取材から「いま一番子どものためになること」をまとめた『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』が15万部を超える大きな話題となっている。
本郷和人(ほんごう・かずと)
東京都出身。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。大河ドラマ『平清盛』など、ドラマ、アニメ、漫画の時代考証にも携わっている。おもな著書に『新・中世王権論』『日本史のツボ』(ともに文藝春秋)、『戦いの日本史』(KADOKAWA)、『戦国武将の明暗』(新潮社)など。監修を務めた『東大教授が教えるやばい日本史』は子どもから大人まで大きな人気となり、37万部突破のベストセラーとなっている。