2. 時間の余裕が増した
リスクマネジメントのコンサルティングという、複数の顧客を訪問するような仕事をしている私にとっては(おそらく営業担当者なども同じだろう)、時間的余裕が大幅に増した。
例えば、東京駅近辺のオフィスから新宿駅近辺のオフィスに移動するのでも、電車に乗る時間は中央線で15分ほどだが、駅まで歩く時間やホームへの移動時間を踏まえると、最低45分くらい見ておかなくては怖い。余裕を持って行こうとすると、1時間空けなくてはならなかったりする。このように東京都内の移動であっても、相当時間がかかっていたわけだが、オンライン会議なら、移動時間はゼロ。満員電車のストレスからも解放され、ありがたい状況である。
3. コメントの質が上がった
個人的な感想であるが、読者の皆さんが書いてくれるコメントの質が格段に上がったと実感する。ツイッターなどのSNSやヤフーニュースなどの記事配信先でのコメントが、以前ならばタイトルのキーワードに即応した、厳しいご意見(内容を読んでから書いてほしいなあと思うような……)をいただくことも多かったのだが、コロナの巣ごもり以降、書いていただけるコメントの中に素晴らしいものが増え、書き手としても大変勉強になることが多かった。おそらく2.で挙げた時間の余裕と密接な関連があるのだろう。いずれにせよありがたいことである。
4. 外国の友人と共通の話題が増えた
これも個人的なことだが、海外の人との間で共感性が高まった一年でもある。私は過去2回ほど外資系企業の役員経験があるので、まったくの国内派ではないが、それほどの国際派でもないというレベルである。仕事以外ではそれほど外国人の知人と連絡を取ったりはしなかったが、今年は人類共通の敵であるコロナに対してどんな対応をしているのか、経済とコロナの両立について国民はどんなふうに考えているか、などのことについて、多くの意見交換ができた。これも時間的余裕が双方にあったからではある。
さらには海外のシンポジウムなどがリアルタイムに見られるようになった。これまでは高い旅費と時間をかけて参加していたものである。そして、そこでは人類共通の問題が語られている。人権問題や環境問題など世界レベルの問題は多くあり、友人たちと継続的に関係を保つことの意義をとりわけ強く感じた一年であったと思う。
5. 一般的なストレス耐性が高まる半面、対人ストレスには弱くなった
リモートワークが恒常化する中で、長い時間、家の中に閉じ込められていても、自分のペースで仕事をし続けることが求められた。そういう意味では、「対課題ストレス耐性」は大幅にアップした人が多いのではないだろうか。リモート下では、誰かに監視されずとも、自分で時間配分をして仕事を完了させる技術が必要不可欠である。
一方で、人と直接会って何かをする際には、人が無意識にかけてくる(とこちらが勝手に受け取ってしまうような)圧力や、大きな声などに対しての耐性が著しく低下しており、かなり疲れを感じやすくなっていると思う。第3波到来前に、20人程度の人に対して、リアルな研修を実施したことがあったが、被研修者からのエネルギーを感じて、オンラインの研修よりもはるかに強い疲れを感じたものだった。