6. 会社と自部署、自分の場所が見えなくなった

『職場での「忘年会」をコロナ禍の今年こそじっくりやるべき理由』の回で述べたが、リモートワークにより部署やチームのメンバーが顔を合わせたり、集まって同じ場で働く機会が減ったりする中で、業界の状況、会社の立ち位置、自分の部署の役割、自分自身の役割など、いろんなことが分からなくなっている。コミュニケーションの絶対量の不足に由来しているのは間違いないが、ともかくこれらは明確にしておくべきである(興味があれば、上記の記事を参照してほしい)。

来る2021年
組織に起こり得る5大変化

 さて、このような状況にあるが、ワクチンの接種が始まれば、コロナに関しては状況の改善が見えてくるだろう。東京オリンピック・パラリンピックも無事に開催され、世界全体でアスリートの躍動から復活の喜びを感じる年になるかもしれない。

 とはいえ、組織と人の関係では、引き続きいろいろと大きな変化が起こる年になるだろう。以下は私が考える2021年に起こるであろう大きな変化である。

(1)SDGsや人権問題などの進展

 環境問題や人権問題への興味関心がさらに高まり、日本社会、日本企業においても、ますます積極的な取り組みが求められる情勢になると思われる。コロナだけでなく、世界共通で解決しなくてはならない問題を直視する姿勢が強まるだろう。対応を積極的にしないことが社会から批判されるような時代に突入するだろうから、レピュテーション(評判、名声)維持のためにも、これらの問題への取り組みが遅れているならキャッチアップする努力が必要だ。

(2)会社と個人の関係変化

 残念なことに財政的に追い込まれ、雇用を維持できなくなる企業が続出するだろう。正社員の領域にもその状況は波及してくる。その際に、これまでのメンバーシップ型雇用を放棄し、ジョブ型でかつ終身雇用ではない形の雇用形態が採用されることもあるだろう。

 会社としては、長期にわたって雇用を保証すること自体、すでにできなくなる可能性がある。このような状況下にあって、会社の雇用政策に対する社会的関心が高まり、上手に対応できなかった会社が社会的批判を受けることになるだろう。