東芝にとっては望まぬ「ブラックサンタ」からのプレゼントとなりそうだ。クリスマスの25日、大株主の米資産運用会社ファラロン・キャピタルが東芝に対して臨時株主総会の開催を請求することが分かった。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
極めて異例!1週間に2件目
臨時株主総会の招集請求
「公約を反故にした以上、合理的な説明責任を果たすべきだ」――。東芝株の5.37%を保有するファラロン・キャピタル(米サンフランシスコ、以下ファラロン)の関係者がそう憤るのは、東芝が11月に公表した中期経営計画「東芝Nextプラン」進捗報告の中身についてだ。
2015年に発覚した不正会計や17年の米原発事業の巨額損失で経営危機に陥った東芝は、収益基盤を強化する東芝Nextプランを18年に策定している。
このプランでは東芝の戦略投資について、米原発事業に象徴される大型M&A(企業の合併・買収)ではなく、既存事業との隣接性や補完性が高い領域にフォーカスした小規模M&Aにより自律的な成長を目指すとしていた。毎年複数の小規模M&Aを計画的に実行するこうした手法は「プログラマティックM&A」と呼ばれ、世界の時価総額トップ100に10年間残った企業の6割が採用しているという。
このプランをいわば「公約」とし、車谷暢昭社長ら東芝の経営陣は20年7月の定時株主総会で株主に選任された経緯がある。
ところが総会後の11月11日に公表された進捗報告では、配当や約7000億円の設備投資を差し引いたキャッシュの残りをM&Aなどの戦略投資に充てるとしている。その投資額は今後5年間で1兆円規模。これまで掲げてきた「小規模M&A」の方針とは明らかに様相が異なり、風力発電事業などへの積極投資にアクセルを踏み込むとみられる。
これについてファラロン側は怒り心頭だ。