飯村幸生・東芝機械CEO
いいむら・ゆきお/東芝機械会長兼CEO(最高経営責任者)。1956年、静岡県沼津市生まれ。同志社大学工学部卒業後、80年に東芝機械入社。08年技術統括部長、09年代表取締役社長を経て、17年4月より現職。同年5月より日本工作機械工業会会長。Photo by Yoshihisa Wada

旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンスが1月21日、東芝機械に対する株式公開買い付け(TOB)を開始した。なぜ東芝機械は狙われたのか、そして対抗策はあるのか――。東芝機械会長兼CEO(最高経営責任者)の飯村幸生氏がダイヤモンド編集部の取材に応じ、その胸中を語った。投資会社を実質的に率いる村上世彰氏について、飯村氏はある重大な“疑義”があるとし、関係当局に相談していることを明らかにした。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

「買収防衛策を復活させたのではない」
東芝機械が繰り出した“株主判断スキーム”とは

――1月10日、村上世彰氏系の投資会社オフィスサポートから株式公開買い付け(TOB)について最初に通知を受けたということですが、この時の受け止めは。

 率直に言って驚きました。

 村上氏のグループとは2018年11月から交渉を続けていましたが、彼らの要求は一貫して「自社株買いをしてROE(自己資本利益率)を上げろ」ということでした。

 しかし19年11月に東芝がニューフレアテクノロジーへのTOBを表明したころから、議題の中心がROE政策から、当社が保有していたニューフレア株をどうするかという話に移っていった。

 われわれが東芝のTOBに応じる形でニューフレア株の売却益が入る見込みとなったので、それをターゲットにしたのでしょう。キャッシュを狙ってどんな荒技でも使う、非常に現金な動きだなと感じました。

 村上氏は「東芝機械が交渉に応じなかった」と言っていますが、それは事実と違います。われわれは「2月に新しい経営方針を示すので、それを見て判断してほしい」と繰り返し伝えたが、聞き入れてもらえませんでした。

――その後に東芝機械は買収防衛策を復活させましたが、どのような議論を経て復活に至ったのでしょうか。

 まず「買収防衛策を復活させた」というのは正しくない。

 われわれが昨年6月に廃止した買収防衛策は、取締役会決議で発動する、いわば「取締役会判断スキーム」でしたが、今回の枠組みは、ガバナンスコードに沿って株主が判断する「株主判断スキーム」であり、内容が全く違います。

 前例がなく、表現としては「買収防衛策」としか表現しようがありませんが、民主主義における国民投票のようなものと思ってもらえばいい。

――具体的にどのようなスキームなのでしょう。