本田美奈子さんは「MINAKOえとせとらテープ」に各国女性ヴォーカリストなどの楽曲を編集して収録し、サウンド、歌唱法の研究材料としていた。1993年9月13日と日付の入ったno1(第1巻)から、95年11月18日付のno30まで、2年2ヵ月間に渡って30本に及ぶ研究テープを作成し、コピーして日本フォノグラム(マーキュリー)のプロデューサーやディレクターらに渡している。

「晴れときどきくもり」(マーキュリー)のディレクター牧田和男さんは、もちろん「MINAKOえとせとらテープ」を受け取った側だが、彼もまた本田さんに、「毎週1つ、気になるCDを聴かせて」と言っていたのだそうだ。

 70年代から80年代の洋楽を紹介したのは牧田さんである。60年代のポップスはフジテレビ「Music Fair」のプロデューサー石田弘さん(連載第9回参照)の影響であろう。

「MINAKOえとせとらテープno25」のすべて

「晴れときどきくもり」の制作段階で、本田さんが牧田さんに渡したテープが何本か残っていた。「これが私のアルバムのイメージ」と言っていたらしい。拝借した95年4月8日の日付の入ったこのテープにはno25と通し番号が付されている。

 no25に収録されていた楽曲は以下のとおり。

編集したカセットテープのジャケット(背表紙と曲目リスト)
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MINAKOえとせとらテープ no25
1995.4.8

① Winki’s Theme (Queen Latifah) 
② You Are Everything (スタイリスティクス) 

③ It’s My Party (レスリー・ゴーア)
④ I’ll Be There For You(ボン・ジョビ)
⑤ プロセッション(シセル・シルシェブー)
⑥ Melody Of Love(ドナ・サマー)
⑦ Goody Goody (Lisette Melendez)
⑧ Get Ready(ダイアナ・ロス、シュープリームス)

⑨ ジプシー・ハート(トリーネ・レイン)
⑩ バング・ユア・ヘッド(ミラ・ジョヴォヴィッチ)
⑪ Love(サラ・ボーン)
⑫ 去りゆく愛(セルマ・レイス)
⑬ The Rhythm Is Magic (マリー・クレール・デュバルド)
⑭ 母 (ハリス・アレクシーウ)
⑮ この胸のときめきを(ダスティー・スプリングフィールド)
⑯ Amazing Grace(エターナル)