「もし、こちらの要求が通らなかったら、最後の最後に、どこを突けばいいか?」と考えておく。そして、「どうも、これ以上の譲歩を引き出すのは無理そうだ」と察知したら、瞬時に「おまけ作戦」に切り替えるのです。

 少し高度に思えるかもしれませんが、どんな「おまけ」をつけるかを想定しておけば、案外、簡単に攻め落とすことができるでしょう。

 事前にプランを練っておくものですから、上司や先輩と相談して「おまけ」を決めておくというのも、もちろんアリです。

「権威」カードを切って
相手の背中を押す

 ほぼ「落ちた」ように見えるのに、なかなか最後の「イエス」が出てこない。

 もうひと押し必要、というときには、「自分自身の言葉」よりも「権威の声」のほうが、相手に響く可能性が高いでしょう。

 もし、こちらの話に納得できないところがあるのなら、相手は、その点を突いてくるはずです。

 そういう素振りでもないのに、まだ迷いが見られるとしたら、おそらく、相手は「どうやって上に通そうか」と逡巡しているのかもしれません。

 ここで相手が必要としているのは、上を説得できるような「新たな材料」。もっといえば、上に通す際に「さては、担当者に丸め込まれたな」と思われないような、「力のある説得材料」です。

 つまり、ここで引き続き「自分の言葉」で押しまくっても、相手には「いや、それはもうわかったんだけど……」と思われ、最後の「イエス」が出ないまま時間が過ぎるだけなのです。

 これぞまさに、「権威」カードを使うべきタイミングです。

 たとえ交渉前の準備段階で、すでに権威的な裏付けを準備してあっても、そういう力のあるカードは、最後まで温存しておくほうが得策なのです。

 では、どんなものが「権威」となるか。弁護士の私にとっては、「判例」がもっとも有力な権威ですが、ビジネスシーンでは、交渉の中身によって、さまざまなものが考えられるでしょう。