総予測#68
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コロナ禍で「変われない日本企業」にまたとないチャンスが訪れた。これを機に一気に変革できるか否かで大差がつく。そこで働く中間管理職、ホワイトカラーも逆風にさらされ、変化を迫られる。特集『総予測2021』(全79回)の#68では入山章栄教授はそう直言する。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

一挙に全部を変えられるか
鍵を握るのは「人事」

──2021年はどういう年になるとみますか。

 変革ができる企業とできない企業の優劣がはっきりと出るだろうと理解しています。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は当然、いまいましいものだったわけですが、一方で企業の変革という面では約30年ぶり、もしくは数十年ぶりの大きな変革をもたらし得る可能性がある。

 それはなぜか。日本がなかなか変革できなかった大きな理由は「経路依存性」にあると僕は思っています。

 企業や社会の仕組みというのは、いろいろなものが絡み合ってできているので、どこか一部だけを変えようとしても変わらない。全体を変革しなきゃいけない。

 例えば、多様性を生かす「ダイバーシティー経営」を目指すには、新卒一括採用、評価制度、働き方など、玉突きのように全てを変える必要がある。

 しかし、それは「言うはやすく、行うは難し」で、実際にはそのままズルズルきちゃうわけです。

 ところが、コロナ禍で一挙に全部を変えられる奇跡的なチャンスが訪れた。この先数年、特に21年は本当にチャンスなんです。

──特に働き方については意識面の変化も顕著です。

 リモートワークの定着で、時間の余裕が生まれ、また会社へのエンゲージメント(思い入れ)が弱まります。実際、「Another works(アナザーワークス)」という副業マッチングのベンチャーには希望者が殺到している。

 副業と転職はこれから間違いなく増えるので、おそらくじわじわとだと思いますが、新卒一括採用、終身雇用もようやく終わってくるはずなんです。

 こうした変化を先取りし、ここで一気に全部変えられる会社とそうでない会社で、いよいよ差がつくのが21年でしょう。

 よくいわれるDX(デジタルトランスフォーメーション)も同じです。

 DXを本格化しようとすると、そこに立ちはだかるのが、先ほどの経路依存性です。DXだけやろうとしても絶対に進みません。

 僕はその変えるべき本丸は人事だと思っているんです。

 デジタル人材をどう確保するかは多くの会社が抱える悩みです。優れたデジタル人材は引く手あまたで、社長より高い給料を払わないといけないことがままある。しかも夏は短パンで会社に来たりするわけですよ。会社の既存の他の仕組みとかなり相性が悪い。

 DXには、実は人事がすごく重要になってくる。僕は今、関わっている会社に「DXのトップと人事のトップを一緒にすべき」と言おうと思っているところなんです。

 必要なのは、いろいろなものを同時に変えられるリーダーです。

――これまでの会社の常識が通用しなくなってくるのでしょうか。