協力要請が「行き渡らない」と発言
「アクリル板」を嘲笑ったのは小池知事

 その後、都内の新規感染者数はどんどん増加。12月17日には821人、26日は949人、そして大みそかの1337人に至る。小池知事が再三、重視すると述べてきた重症者数(国の基準と異なり人工呼吸器またはECMOを使用している患者のみ)も、12月15日に78人、31日には89人に膨らんだ。

 小池知事は遅まきながら営業時間を午後8時に改めるのかと思われたが、突如として政府に緊急事態宣言の発出を要請した。

 小池知事は、政府が発出を検討すると表明した1月4日夜の臨時記者会見で、東京新聞の記者に「都はさまざまな対策や呼びかけをしてきたが、感染者数が減らず、緊急事態宣言の発令に至った。どこに失敗があったとお考えか」と質問された。その回答は以下の通りだ。

「ほとんどの方にはご協力もいただいておりますけれども、十分に行き渡らないままに(感染拡大に)至ったということかと思います。そしてまた、人と人との感染、接触をいかに防いでいくかということが十分ではなかったかというふうに考えております」――。

 感染拡大の要因はあくまで、自分の呼びかけに従わなかった都民の側にあると言わんばかりだが、果たしてそうか。

 ダイヤモンド編集部は再三にわたって、小池知事があの手この手で何度もアピールした「感染防止徹底宣言ステッカー」が実効性を担保する仕組みになっていない問題を指摘してきた。

 また、小池知事は昨春以降、手洗いなどを呼び掛けるテレビCMに自ら積極的に出演してきたが、上田令子都議会議員が都に確認したところ、昨年4月から今年3月にかけて契約されたテレビCMの費用は7億6000万円、ウェブ広告などを含めると合計11億1000万円にも上るという。

 特にテレビCMは、昨年7月の知事選前の4月に頻繁に放映され、「実質的な選挙運動ではないか」と批判された。8月には前述のステッカーが印字されたTシャツを着て、カメラマンの前でポーズを決めてもいた。

 もっとも実効性はともかく、これらは感染予防を呼び掛ける目的で行われたものではあった。より問題なのは、感染予防に真剣に取り組んでいる飲食店や事業者を嘲笑っていると言われても仕方がない発言をしていたことだ。

 7月の記者会見で「アクリル板を作ってすき焼きを食べて、おいしいかっていうのはよく分かりませんけれども」などと笑いながら発言。アクリル板は十分な高さがあれば、飛沫が飛ぶのを一定程度防ぐ効果があるとされるが、対面の机に設置している飲食店は非常に少ない。設置のための都独自の補助制度もあるが、小池知事が言及する機会は極めて少ない。

 このように、不十分ともとれる“呼びかけ”しかできなかった小池知事に対して、「なぜ責任転嫁されなければならないのか」と感じる都民は少なくないのではないか。