JR東日本と西武鉄道やプリンスホテルを傘下に持つ西武ホールディングスは昨年12月23日、鉄道以外のサービス事業で包括的に連携することを発表した。その背景と目的について解説する。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
JR東日本と西武HDの
包括的連携の目的
年末に大きなニュースが飛び込んできた。12月23日、国内最大の鉄道事業者であるJR東日本と西武鉄道やプリンスホテルを傘下に持つ西武ホールディングス(以下、西武HD)はグランドプリンスホテル高輪で記者会見を行い、両社が包括的連携に合意したと発表したのである。
新型コロナウイルスをきっかけとした人々の価値観・生活様式の変容により、社会や経済の仕組みは集中から分散、マス(大衆)からパーソナル(個人)へと変化しつつある。
JR東日本の深澤祐二社長は、こうした変化に対応するためには「一時的な観光需要や移動需要の創出にとどまらず、生活拠点の分散化を新たにビジネスの機会と捉え、これまでの戦略の見直しをする必要がある」として、連携の目的が「JR東日本の強みである新幹線など長距離輸送や、西武HDの強みである豊富なホテル・レジャー施設に、デジタルトランスフォーメーション(DX)やMaaSを組み合わせることで、人を起点とした、地域とともに発展していく新しいライフスタイルを作り出す」ことにあると説明する。