4分類の小規模事業者に、今後5年間の事業方針を質問したところ、グローバル型やサプライチェーン型の小規模事業者は7割超から6割で「成長・拡大」と回答し、「現状維持」との回答は2~3割の水準にとどまっているのに対して、生活インフラ型はまったく逆の傾向となった。「成長・拡大」は29.5%にとどまり、「現状維持」が58.5%に上ったのだ。

 断っておくが、筆者は「現状維持」を望むことが悪いなどと言っているわけではない。地域の生活者のインフラを守るには、何をおいても事業の存続を目指すのは当然だ。「成長・拡大」などのリスクをとって、廃業などに追い込まれてしまうことは絶対に避けなくてはいけない。医療や福祉という公的サービスならばなおさらだ。

 ただ、現状維持というのは良いことばかりではなく、急激な「環境の変化」に対して迅速に対応できないという「負の側面」もある、と申し上げたいだけだ。

 リスクを取らない経営方針をずっと貫いてきた小さな医院やクリニックの経営者が、「コロナを受け入れている病院が医療崩壊寸前だから、皆さんも協力してほしい」と言われても、「了解!やりましょう」とフットワーク軽く動けるだろうか。

「存続」を第一に考える医療機関の
要望を代弁しがちな日本医師会

 前述のように、彼らが何よりも守るのは「存続」だ。施設も小さく、人員も少ない小さな医院やクリニックで院内感染が起きたり、「あそこの看護師がコロナになった」などという風評が流れたりしたら、すぐに経営危機に陥って通常医療が続けられなくなってしまう。「そんな危ない橋は渡れない」と考える小さな医院・クリニックの経営者は多いはずだ。

 そして、このような経営者側の要望をきっちりと政治に届けてくれるのが、他でもない日本医師会である。

 日本医師会会員数調査(令和元年12月1日現在)によれば、会員総数17万2763人のうち8万3368人は「病院・診療所の開設者」。今コロナで苦しむ公立病院などの勤務医の会員は少なく、発言力もないため、日本医師会は「病院経営者の団体」と呼ばれている。