「現場の声」や「現場の意見」は、とても重要なものだ。しかし、コンサルタントがその声に強く押され、「迎合的な判断」をしてしまうと、後で大けがにつながることもある。コンサルはプロジェクトの理念や方針を決して放棄してはならないのだ。(リポタ株式会社代表取締役、経営コンサルタント 中野豊明)
コンサルの「迎合的な判断」が
時に大けがにつながる
1月7日、ついに新型コロナによる2度目の緊急事態宣言が発出された。緊急事態宣言自体の是非やタイミングの賛否について語るのは本稿の目的ではないが、私が興味深く思うのは、昨年4月の1回目の緊急事態宣言から始まり、段階的な解除、今回の2回目の発出に至るまで、政府が「意図的に行った」と思える宣言直前のプロセスである。
毎回、数日前には宣言の内容がマスコミによって報道され、おおむね報道通りの内容で発表されている。これは国民に迎合的なある種のポピュリズムなのではないだろうか。
実は、コンサルが行う仕事において、例えばプロジェクトのような限定的な範囲であっても、「迎合的な判断」が時に大けがにつながることがある。
それは、どのような場合なのか。実例を元に解説してみよう。