王者の風格を期待したいファン
今こそ初心にかえるとき

 イケイケで売り上げを伸ばしていた企業が、いつの頃からかちょっと様子が変わって、その後凋落(ちょうらく)していくさまを、一消費者の立場からこれまで何度か目にしてきた。平家物語にあるように、「おごれる者久しからず」は結構な確度で真なのである。
 
 セブン-イレブンの創業者・鈴木敏文氏の凄みを伝える、ある有名なエピソードがある。新発売されるインスタントラーメンの試食が発売前日になってしまった。商品を口にした鈴木氏は急きょ発売中止と、6000万円分の商品を廃棄することを決定した、というものである。
 
 この消費者に寄り添う姿勢がセブンをコンビニの王者たらしめた。鈴木氏は2016年に名誉顧問に退いたが、残る経営陣もぜひその手腕を見せて、我々を魅了し続けてくれることを期待したい。
 
 トップ走者として逆風を受けやすい立場にあるセブンだが、今「詐欺」と炎上しているのはひょっとしたらいい機会かもしれない。信用を取り戻していけば、批判を集めた怪しげなカップデザインも「黒歴史の笑い話」になる日を迎えられるはずである。筆者がこうして必死になって応援している通り、ファンはまだ離れきってはいないから、今こそ巻き返しがきく、そのチャンスだ。
 
 コンビニチェーンの売り上げレースは「王者の転落」などではなく、下位企業の努力による追い上げと、そこからさらに逃げ足をみせるトップによって白熱してもらいたい。各企業が切磋琢磨して商品の質が上がってくれれば、消費者としては万々歳である。