中国が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から比較的早く回復したことで、「中国の経済規模はいつ米国を追い抜くか」を予想する動きが高まっている。だが、この問いは間違っている可能性がある。たとえ中国がトップの座を奪ったとしても、それを長く維持するのは難しいかもしれない。投資銀行ノムラのリサーチャーらは先ごろ、人民元がさらに強くなり、1ドル=6元(約96円)前後を維持した場合、米国経済は2026年までに中国に抜かれることになるとの予想を示した。この予想は、国際通貨基金(IMF)による予測——2025年に名目GDP(国内総生産)伸び率7.9%——を将来にわたって推定した数値に基づいており、米経済は恒久的にパンデミック以前の成長軌道を下回る状態が続くという前提に依拠したものだ。結果も、そして通貨高の継続も、確実な話ではない。だが、米国の軌道はともかくとしても、人口動態と生産性の動向からみると、中国がパンデミック以前の成長率を維持するのはますます困難になるだろう。