東京で過去最高の1日2447人の感染が判明した日の渋谷の様子東京で過去最高の1日2447人の感染が判明した日の渋谷の様子。緊急事態宣言の延長により、経済活動の落ち込みを懸念する声が強まっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

緊急事態宣言は延長へ
望みは製造業の堅調な推移

 政府は2月2日、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言を、10都府県で延長することを決定した。緊急事態宣言が延長されたことで、経済活動の落ち込みを懸念する声が強まっているが、昨年(2020年)4月上旬から5月下旬にかけての1度目の緊急事態宣言の発令時に比べ、落ち込みは相対的には小幅にとどまるとみられる。

 昨年の緊急事態宣言を含む4-6月期の実質GDPは、個人消費の落ち込みに加え、輸出の急減もあり、前期比8.3%減(年率換算29.2%減)となった。実額(名目GDP)では、11兆円程度落ち込んだことになる。

 個人消費の減少は、外出自粛や店舗への休業・営業時間短縮の要請によるもので、小売、外食、レジャー・娯楽、サービス業など非製造業の売り上げが急減した。輸出の落ち込みは、世界経済の失速を受けたもので、製造業の生産活動や売り上げも大きく落ち込んだ。

 一方、足元をみると、非製造業の経済活動や売り上げの落ち込みに対して、製造業部門は堅調な推移となっている模様だ。企業の経済活動や売り上げなどと連動する企業景況感をみると、非製造業が悪化しているのに対し、製造業は改善が続いている。

 景気が「良い」「悪い」といった水準を月次で調査するロイター短観の業況判断DIをみると、21年1月は非製造業で7ポイント低下した一方、製造業では8ポイント上昇した(図1上段参照)。さらにDIの上昇幅(3カ月前比)をみると、製造業では上昇ペースが加速している(同下段参照)。