世界で実績を残してきた投資家は、将来の動向よりも、企業の歴史を重視しているという。一般的に「株式投資は将来を予想することが大事」という思い込みが強くあるが、将来予想などしなくても投資をすることが可能だ。『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』を上梓した泉田良輔氏に、個人でも簡単にできる株式投資のポイントをうかがった。

世界の機関投資家が「減益でもかまわない」と考える理由Photo: Adobe Stock

当期純利益が大事
ポイントは資本の積み上げ

 株式投資の銘柄選びでは各企業の利益について検討することが欠かせません。利益を長期的に分析するには、どうすればいいでしょうか。

 過去の決算書の中で、確認すべきポイントは何かといえば、以下の2点をあげたいと思います。

・過去赤字になったことがあるかどうか
・利益率はどの程度か

 赤字を損益計算書の中のどの段階でとらえるのかという議論はありますが、ここでは株主にとって最も重要な当期純利益に注目したいと思います。

 当期純利益とは、企業が1年間にわたって事業を行う中で、売上高から売上原価や人件費などのさまざまな経費を差し引き、税金を支払ったあとの利益です。その利益の中から株主に配当が支払われます。したがって、株主にとって最も重要な利益といえます。

 この当期純利益がプラス、つまり黒字であれば、企業としては事業をしてきた意味があります。またマイナスの場合(当期純損失)には、事業を通じて損失が出てしまったということになります。当期純利益であれば、株主資本が積み上がって、企業価値が上がることになります。

 ここが理解できれば、当期純利益を計上し続ける重要性がおわかりになると思います。投資家の投資価値を考えれば当たり前ですが、当期純損失はないほうがいいのです。