求められているのは
「集約化」「役割分担」「連携」

 課題解決のためには、イギリスの医療体制が一つの参考になるという。

「人口が日本の半分にあたる6700万人のイギリスでは、ECMOで治療する施設を国策として国内6施設に限ってセンター化しています。つまり、『医療の質』を担保するために、医師も患者も『集約化』しているのです。この体制は功を奏しており、2009年の新型インフルエンザでパンデミックが起きた際、日本でもECMOを使った治療が行われましたが救命率は36%でした。一方イギリスのECMO救命率はその倍の72%(2020年4月18日配信『ニューズウィーク日本版』より)です。

医療崩壊の真実渡辺幸子氏とアキよしかわ氏による新刊『医療崩壊の真実』(エムディエヌコーポレーション刊)

 日本では、集中治療専門医でもECMOを扱える医師数が限られています。今後は、医師と患者の『集約化』がコロナ重症患者の救命率を上げる施策となるのではないでしょうか」

 さらに医療機関の『役割分担』と『連携』の強化も急務だ。

「自治体はコロナ病床確保に際して、コロナ重症患者の治療可能な専門医の配置とハードが整備されているかを把握し、未整備である場合、それらの病院は中等症~軽傷コロナ患者を治療する役割として、重症受け入れ医療機関と『連携』する仕組みを構築することを急ぐべきだと思います。

 また、それらの『連携』も医療資源の有効利用を考えると、隣接する都道府県間での『広域連携』が望まれます。専門医とハードの機能に応じた医療機関の『役割分担』と『連携』こそが、求められている対応です」

 国会は、今年度第3次補正予算において新型コロナ感染症対策費として4兆3581億円もの大金を投入しようとしているが、そこに、こうした本質的な問題に対する視点はちゃんと反映されているだろうか。「病床1床あたり○○円」といった議論を聞いていると、どうも目先のことにしか関心が行っていないように思えてならない。

◎渡辺幸子(わたなべ・さちこ)
株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(https://www.ghc-j.com/)代表取締役社長。慶應義塾大学経済学部卒業。米国ミシガン大学で医療経営学、応用経済学の修士号を取得。帰国後、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社コンサルティング事業部などを経て、2003年より米国グローバルヘルスコンサルティングのパートナーに就任。2004年3月、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン設立。これまで、全国800病院以上の経営指標となるデータの分析を行っている。著書に『患者思いの病院が、なぜつぶれるのか?』『日本医療クライシス「2025年問題」へのカウントダウンが始まった』(幻冬舎MC)など。