企業にとって本当に役立つ士業はどう選べばいいのか。また士業をどう使えば自社の競争力向上につながるのか。『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』の著者で、士業向け経営コンサルタントとして活躍する特定行政書士の横須賀輝尚氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)
2020年3月に動かなかった
士業とは付き合いを再考すべき
――企業経営に本当に役立つ士業とは、どのような士業なのでしょうか。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、できる士業とそうでない士業は明確になりました。
それを判断するポイントは2020年3月でした。国が中小企業の資金繰りを支援するために「セーフティネット保証4号」が発動され、5号においても対象業種の追加指定がなされました。
できる士業なら、すぐにリーマンショックや東日本大震災級の経済的ショックが発生して不況が訪れることを察知して、顧問先企業へ資金繰りの確認に走るべきです。
多くの中小企業は月次の経理業務や、税務申告などで、税理士と付き合いがあると思います。その税理士は、企業にとっては、自社の財布の中身を隅から隅まで知っている最も身近な士業。もし資金繰りに関する情報提供すらなかったなら、その税理士との付き合いは考え直すべきでしょう。
本当に役立つ士業の条件は、顧客である企業のために動ける人です。これは当たり前の話なのですが、士業の中には残念ながら「受け身」の姿勢の人が多く、顧客に対して提案できる人が少ないのです。
――なぜ受け身になってしまうのでしょうか。
税理士は自分から提案しておいて、もし顧客が望む結果が得られなかったら恥ずかしい、面目ない、という気持ちが先に立ってしまう人が多いようです。