壊滅的な打撃を被った敗戦国の戦後復興を担うのは戦勝国であるように、どんな戦いでも勝者は事の後始末に大変な苦労を強いられるのです。

 たとえば、相手の怨みを封じるために、心身に受けた傷を治してあげるとか、経済的な手当をしてあげるとか。お金と労力のかかる、いろんなサポートが必要になるでしょう。

 だから、戦っちゃあいけない。

 もちろん、人生は戦い。勝つためには闘争心が必要です。

 ただ、実際に戦う前に、自分も相手も傷つかない勝ち方、つまり戦わずに交渉で勝敗を決するような方法、もっと言えば相手に「喜んで勝ちを譲ります」と言わせるくらいの方法を考えなくてはいけないのです。

 次に、そのための具体的な方法を見てみましょう。

戦う前に相手の戦闘心をくじく

上兵は謀(ぼう)を伐(う)つ。
戦う前にまずたしかめるべきは、相手に戦う気があるかどうかだ。そのうえで「ある」とわかったら、相手が戦う気をなくすように仕向けるといい。それもまだ戦いの芽が小さいうちに摘み取ってしまうことが望ましい。

「天下の難事は必ず易きより起こり、天下の大事は必ず細(ちいさ)きより作(お)こる」

 これは老子の言葉。天下の難事・大事といえども、事の起こりは簡単に解決できる些細なものだったという意味です。