どんな時代でも生き残れる不動産投資家になるための極意とは何か? 不動産投資で利益をあげ続けるためには、基本となる知識やノウハウを学ぶ必要があります。ハーバード大学デザイン大学院で最先端の知識を学び、それに自身の体験から得たノウハウをミックスして体系化した『ハーバード式不動産投資術』(上田真路著、ダイヤモンド社)が2月17日に発売されます。本連載では、世界のどこでも通用する、普遍的で再現性のあるナレッジである不動産投資術について、同書の中から抜粋してそのエッセンスをわかりやすくお届けします。良い不動産をデザインするとは、どういうことか? 驚異のリターンを実現するファイナンスの極意とは? 不動産投資のリスクをどうコントロールしたらいいのか? などについて、実際の事例(ケース・スタディ)を踏まえてそのメカニズムを解き明かしていきます。不動産投資を始めたいと思っている人、すでに始めている人、さらに上を目指したい人、必読です。
5年間での自己資金に対する投資リターンが
26倍になった物件も
高知の田舎から大学入学で上京し、資産ゼロ、コネゼロ、高田馬場の大家さんに家賃を6年間払い続けた僕が、独学で不動産投資を学び実践し、その後、家賃収入(+奨学金)でハーバード大学デザイン大学院(GSD)に留学した。
僕の不動産投資戦歴のひとつを紹介すると、5年間での自己資金に対する投資リターンが26倍になったものもある。この驚異のリターンを実現できたのも、GSDでのファイナンスとデザインを結びつける学びのおかげだ。本連載では、この世界最高峰のノウハウともいえるハーバード式不動産投資術の真髄を公開させていただきたい。
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僕が不動産投資を始めたきっかけは、2008年のリーマンショック時に設計の仕事がなくなったことだった。当時はゼネコンに勤務する建築の設計者として、リゾートホテルや複合施設の設計を国内外で活発に行っていた。
しかし、リーマンショックが猛威を振るい、不動産業界にとって冬の時代が訪れると、不動産プロジェクトの川上で資金と融資の供給が完全ストップ。連鎖してデベロッパー(不動産開発業者)や不動産ファンドが倒産し、そこから仕事を受注している設計者やゼネコンの仕事がいっきになくなった。
僕の担当していた不動産開発プロジェクトも例外ではなく、不動産オーナーは泣く泣く土地を売り払い、僕の設計者としての仕事も当然なくなった。もちろん設計料も回収できず。その時に、もし自分がこの不況下でも生き残れる不動産投資家だったら、開発用地を売却せずに保持して、クリエイティブに軌道修正をし、なんとか開発プロジェクトを続けられる方法があったのではないかと、悔しい思いをした。
そして、サラリーマンのみの収入に頼らずに、どんな状況下でも安定した不労所得と売却益を確保しつつ、自分の好きな設計の仕事に打ち込める経済状況を手に入れるべきとも思った。そう、つまり自分がリスクを取り、クリエイティブに投資をコントロールできる建築家大家になれば、プロジェクトの主導権もしっかりと握り、いい建物を設計し、結果的にリスクを取った分の大きなリターンを得られる、という考えに至ったのだ。