どんな時代でも生き抜くことができる
不動産投資の普遍の教養

 そうは言っても、自分も昔は一介のサラリーマンで、資金や知識、人脈もなく、どこから始めればよいのかも分からなかった。そんな中で、数々の不動産セミナーに顔を出し、不動産関連書籍も50冊は読破し、投資総額10億円超えのメガ大家とよばれる不動産投資の大先輩たちとの出会いもあって、やっと最初の物件に投資することができた。

 さらに、不動産投資とデザインの関係を探るためにGSDへの留学、不動産ファンドでの経験を経て、唯一無二の物件をいくつか投資・開発し、今のところは山あり谷ありで充実した不動産投資ライフを過ごさせてもらっている。成功していると言い切れないのは、僕がこの世からいなくなるまで成功かどうかが判明しないと考えているためだ。

 もちろん数々の失敗をし、挫折も味わってきたが、今のところ資産拡大法の自分なりの答えを出し、積み上げてきており、将来像を明確に見ることができているから「純粋にエキサイティングに楽しんでいる」状態だ。

 だが、不動産投資が自分の資産拡大に与えるインパクトは経済的な一面にすぎない。不動産投資という社会活動がユーザーや地域、そして都市に及ぼす社会的インパクトは非常に大きく、そして末永いものだ。

 今の自分があるのは、自己流で編み出してきた投資手法、メガ大家の先輩方からの教え、そして不動産投資成功の普遍的な方程式を授けてくれたハーバード大学院からの学びのおかげだ。この3つの学びを融合、整理した手法を「ハーバード式不動産投資術」として順を追ってお伝えしていきたい。

 不動産投資の素人だった僕のケースを追体験していただくからこそ、これから不動産投資を始める方でも、もちろん実行できる手法だ。

 このノウハウは再現性のあるものだし、世界共通の手法でもあり、さらに、どんな時代でも生き抜くことができる「不動産投資の普遍の教養」だと考えている。

 世の中がますます複雑性や国際性を増してゆき、さまざまなライフスタイルや働き方が求められる時代だからこそ、より普遍的な不動産投資の思考方法や、投資姿勢が必要となってきている。

 今回、本をまとめたのは、そうしたニーズに答えるために、一度、ハーバードで学んだ世界基準のノウハウを自分なりに言語化して、実行可能なナレッジとして皆さんとシェアしたいと思ったからだ。

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。