3つの職種に共通して必要なのは
ビジョナリーであること

 三つ目はHR(人事)領域の人材です。リモートワークへの移行で働き方が大きく変わり、ワークルールや求める人材が変化していますし、リアルで集まる機会が減ってチームビルディングやオンボーディング(採用した人材の定着、戦力化)も困難さを増しています。これらの課題を解決するためにHRの人材が求められています。

 HRは経営者が考える会社や仕事の在り方と、そこで働く社員との理想的な関係をチューニングし続けていく役割を担っていますが、ここがちぐはぐになって問題が生じている会社はたくさんあります。たとえばリモートワークを推奨しているのに勤怠管理はタイムカード的な昔ながらのやり方のまま、というような。それではいけません。

「そもそも会社とは何か」「われわれの会社は何のためにあるのか」についてまともな経営者は必ず考えていますから、HR担当者は、経営者としっかりコミュニケーションを取り、すり合わせしながら会社を理想の姿にすべく組織体制やワークルールを構築していくことが求められます。

 HRがつくるルールによって従業員の働き方や満足度、生産性は大きく変わります。とりわけ重要なのは「何をどう頑張れば、評価と報酬が上がるのか」を明確にすることで、それがあいまいな会社の従業員は不幸になってしまいます。

 どんな時代でも評価と報酬の明確化は重要ですが、これからはリモートワークになって会社との直接的なコミュニケーションの機会が減る上に、働く人や働き方の多様化が進展していきますから、従業員が何をどう頑張ったら自分の暮らしや人生が良くなっていくのかを、より分かりやすく示していかなければなりません。もし経営者にそうした発想がなければ、経営者に啓蒙していく必要もあるでしょう。

 以上の3つの職種のどれにも共通しているのは、ビジョナリーな視点が求められることです。DXもマーケティングもHRも、「これからどうあるべきか」「ビジョンに基づいてこうしていきたい」といった実現したい世界観がなければ、その役割を果たすことは難しいでしょう。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)