JTが再びリストラだ。正社員約1000人の希望退職など3000人規模の人員削減を実施。国内たばこ事業の本社機能は、スイスに移転する。2020年12月期決算は2期連続の減収減益で、21年も減収減益は続く見通しだ。国内たばこ市場の縮小とリストラのループから抜け出せない苦境が続く。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
3000人規模の人員削減
株主配当は上場以来初の減配
国内市場縮小による人員削減。JTがこのループから抜け出せない。
2月9日、JTの2020年12月期決算で発表されたのは、国内たばこ事業の大規模な縮小だ。JTは15年にも1700人強の人員削減を行っている。今回は国内の正社員約6500人のうち、約15%にあたる1000人の希望退職など、3000人規模の人員削減に踏み切る。
国内の営業拠点も現状の160拠点を約7割減らし、47拠点まで縮小する。22年3月末には九州工場も閉鎖し、00年には25あった工場が、3つまで減るのだ。
大リストラの背景にあるのは、売り上げを成長させる要素が見いだせないことだ。
20年12月期の売上収益は前年同期比で3.8%減少の2兆926億円。営業利益は本社ビルの売却益413億円があったにもかかわらず、同6.6%減少の4691億円と2期連続の減収減益だった。
加えて21年12月期も、売上収益2兆800億円、営業利益3630億円と減収減益が続く見通しとなっている。
市場関係者にとって最大の”サプライズ”は、1994年の上場以来初めてとなる減配だった。21年12月期の年間配当予想について、前年同期から24円減の130円と発表したのだ。
ただ、この配当性向は96%。純利益のほぼすべてを配当に回している状況である。こうした中、JTは将来の配当性向の目安について「75%」と新たに提示しており、今後さらなる減配の可能性は高そうだ。