本当は怖い働き方改革#3
Illustration by Saekichi Kojima, Photo:Tuomas Lehtinen/gettyimages

働き方改革で「残業時間の上限規制」が始まり、大手企業の社員の残業代が減ってきている。三菱電機、電通グループ、JT、日本マイクロソフト、楽天、野村不動産、朝日新聞社、毎日新聞社などの社員のナマ情報から透けるのは、「残業代ゼロ時代」の到来だ。特集『本当は怖い働き方改革』(全9回)の#3では、中堅社員たちのリアルな声をつづった。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

「残業代を当てにできなくなった」
電通マンの悲哀

 電通グループに勤務する30代の男性は、給料日が近づいてもワクワクすることがなくなった。モーレツ広告マンとしてバリバリ働いていた“あの頃”に比べて、残業代が半減したからだ。

 “あの頃”とは、新入社員の過労自殺で長時間労働が改めて発覚した2015年ごろまでのこと。世間から猛烈なバッシングを受け、17年には当時の社長が引責辞任し、法人としての電通は、労働基準法違反で有罪判決を受けた。

 しかも19年9月に、労使協定(36協定)で定めた上限時間を超える残業をさせていたとして労働基準監督署から是正勧告を受けたことも明らかになり、社員の労働時間管理は、徹底的に厳格化された。

 残業時間は大幅に削減される流れになった。なんとかクライアントに頼み込んで仕事のデッドラインを緩めてもらったり、仕事を分散させたりして1人当たりの負担を減らし、業務量を落とした。

 さらに「コロナショック」が残業時間削減の流れに拍車を掛けた。社員が新型コロナウイルスに感染したことが判明したため、電通は2月下旬から全社でテレワークを始めた。

 冒頭の男性社員も週3~4日はテレワークで仕事をこなしている。もともと月35時間程度あった残業時間が19年には半減し、さらにテレワークによってほぼなくなりつつある。