人件費や減価償却費などの固定費はいったん増やすと削減しにくい。コロナ禍で売り上げが急減すると固定費が増えた企業の損益は悪化しやすく、業績悪化が加速するとリストラに追い込まれる公算が大きくなる。特集『銀行融資先危険度ランキング』(全7回)の#2では、試算に基づいて固定費と人件費の対売上比率の上昇度ランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
売り上げ減少に見合って減少する変動費
なかなか減らせない固定費が収益を圧迫
企業にとってのコストは二つに大別できる。一つは変動費。メーカーであれば製品の材料費、流通業であれば商品の仕入れにかかる費用などがこれに当たる。もう一つは固定費だ。主なものは、人件費や工場などへの設備に投資した費用を分割計上していく減価償却費である。
売り上げが減少した場合、通常は生産・仕入れを抑制するので変動費も減少する。だが、固定費はそうはいかない。すでに使った費用の分割計上である減価償却費は変わらないし、人件費も売り上げ減少に見合うほど減ることはない。
従業員や設備投資を増やして固定費が膨らんでも、それに見合う形で売り上げが増えればいいが、増えないと業績圧迫要因となり、業績がさらに悪化すれば従業員や設備のリストラに追い込まれることになる。そこで、直近期の売上高に対する固定費の比率を5年前の期と比較し、比率の上昇度の高い順に並べた。