要するに、新卒一括採用、年功序列・終身雇用の「日本型雇用システム」がいまだに社会全体にしっかりと根付き、働き方の多様性が進んでいないために、女性がリーダーに育っていく経験をなかなか得られない。それが、日本の女性リーダーの人材不足の本質的な原因なのである。

本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されています。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)

 ただ、日本独特の新卒一括採用は、どこの国よりも多くの大卒が会社に入れることが大きなメリットだ(第97回)。なにより、大学卒業時点の女性の社会進出は、どの国よりも高いレベルにあり、わざわざ崩す必要はない。

 問題は、女性リーダーが少ないことにあるのだから、「日本型雇用システム」をベースとしながら、さまざまな対策を導入していく必要がある。例えば、「裁量労働制」をもっと導入することによって、働き方の多様性が今よりも認められ、女性がキャリアアップするためのハンディキャップは、少なくなるだろう(第177回・p4)。

 また、中途採用の機会を増やすことが必要だ。特に、組織の幹部人事は年功序列の内部昇格のみでなく、公募を導入するべきだ。内部と外部から応募してきた人材を競わせて幹部を決めれば、一度結婚、出産等でキャリアが中断した女性が、経験を生かして幹部に登用される機会は増えていくはずだ。

 新卒一括採用から年功序列・終身雇用制の中で女性のキャリア形成がいかに困難かを全面的に見直していくことが、女性の社会進出を進めることになる。森氏の「女性蔑視発言」に端を発した今回の騒動を、そのきっかけにすることが重要である。