シャープ批判で厳格化された中小減税
それでも依然大きい節税メリット

 だが、こうした優遇は、本来は中小企業を育成するために設けられた措置である。大企業が資本金を減らす減資で、中小企業の税制上の特権を得ようとしたことに批判が巻き起こり、シャープは計画の撤回に追い込まれた。

 事態はそれで収まらず、翌16年に政府・与党が動きを見せた。19年度から、大企業並みの所得(過去3年の平均で15億円超。「所得」は、「益金」から「損金」を差し引いた税務会計上の利益)がある企業に対し、たとえ資本金が1億円以下であっても、中小向けの政策減税を打ち切ることを決めたのだ。

 具体的には、所得金額800万円までの軽減税率適用や、年間800万円までの交際費の損金算入、研究開発投資減税の上乗せ措置、中小企業投資促進税制などの特例措置が受けられなくなった。

 それにもかかわらず、大企業の減少は止まっていない。国税庁の最新の統計によると、資本金1億円超の大企業は18年度に1万8810社となり、前年度から516社減っている。統計がさかのぼれる11年度(2万4380社)から、実に7年連続で減少しているのだ。

 ちなみに、中小企業を含む総法人数は、11年度の259.8万社から18年度の274.7万社に増加している。総法人数が増えているのに、大企業が減っているのは「減資で大企業が中小企業になれる税制のひずみが原因だ」(信用調査会社関係者)との指摘がある。

 東京・新宿区の中村太郎税理士は「資本金を1億円に減らした際の税務上のメリットは依然大きい。大企業に赤字でも課税する『外形標準課税』からは19年度以降も適用が除外されているほか、『欠損金の繰越控除』も従来通り適用できる」と説明する。

 グループ人員約2割の削減、国内店舗の約25%の統廃合を迫られるなど、JTBがコロナ禍で苦境にあるのは確かだ。

 ただ、旅行業界を助けるために政府が観光需要喚起策「Go To トラベル」を実施したことは、忘れてはならないだろう。優に2兆円を上回る事業規模で、その原資は血税である。節税を念頭に置いたとみられる、旅行最大手の減資による中小企業化――。税の公平性を損なうものではないかと論議を呼びそうだ。

 なおダイヤモンド・オンラインでは、JTBが受けられる具体的な節税メリットについて『JTB、資本金1億円に減資の“中小企業化“で得られる「節税メリット」の中身【スクープ完全版】で詳報している。