アンバサダーとともに成長する姿勢

 ワークマンとアンバサダーはウィン・ウィンの関係だ。

 ワークマンはアンバサダーに製品開発を手伝ってもらい、アンバサダーに当社のネタを一番早く使ってもらう。それで読者やチャンネル登録者数、再生回数、ページビュー数を増やしてもらう。

 それがアンバサダーの収入につながればいい。

 サブスクライバー(投稿の常時閲覧者)が5万人から10万人になれば、収入は2倍になる。

 アンバサダーにとってよい効果が出ているかは常にデータで確認している。アンバサダーがワークマン製品をテーマに発信したときと、ワークマン以外のテーマで発信したときとで、アクセス数は前者のほうが倍以上なくてはならない。

 現状、一番多い人で1000%アップ、少なくても210%アップになっている。

 会社が広告するよりも、第三者にお願いしたほうが絶対にいい

 テレビの取材があったときもアンバサダーにお願いする。

アンバサダーによるイベント動画再生回数と増加率

 嵐の二宮和也(にのみや・かずなり)さんがMCを務めるバラエティ番組『ニノさん』(日本テレビ系)に、2020年6月、Nozomiさんが出演した。

 番組内でも自分のことを猟師として「ぺえぺえ」と言ったり、イノシシの血止めを躊躇したりして、プロっぽくないところに親しみを感じるという声がSNSなどでも多かった。当社のアンバサダーは自然体で素朴な人が多い。

 そういう人が画面に出てくるとホッとするし、自分にもアウトドアができるかもしれないと感じさせるので、アウトドアの裾野が広がる。

土屋哲雄(つちや・てつお)
株式会社ワークマン専務取締役
1952年生まれ。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社。プロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「エクセル経営」を持ち込んで社内改革。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞、会社として「2019年度ポーター賞」を受賞。2012年、ワークマン常務取締役。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。「ダイヤモンド経営塾」第八期講師。これまで明かされてこなかった「しない経営」と「エクセル経営」の両輪によりブルーオーシャン市場を頑張らずに切り拓く秘密を本書で初めて公開。本書が初の著書。