緊縮財政に対する国民の反発も強まっている。写真はスペインでのデモ。プラカードには「メルケル(ドイツ首相)もラホイ(スペイン首相)も駄目」の文字
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 すべては先送りされた。ギリシャの支援交渉、スペインの支援、銀行同盟構想などの問題に対し、10月8日のユーロ圏財務相会合は何ら新たな材料を出さなかった。

 市場はこれに、ほとんど反応しなかった。「進まないことを、織り込んでしまっている」(中空麻奈・BNPパリバ証券投資調査本部長)ためだ。だが、この“凪”が続く保証はない。問題の根本は何も変わっていないからだ。

 スペイン国債(10年債)の利回りは若干上昇したものの、10月10日時点で5.8%にとどまっている。7月には7.6%に達していたのに比べ、危機は明らかに沈静化したように見える。しかし、進まない財政再建、悪化する景況、地方自治州の資金繰り難など、またいつ火が付いてもおかしくない。

 9月28日、銀行のストレステスト(健全性審査)の結果が発表された。想定内に収まったのは好材料ではあるが、資産査定の前提など内容についてなお疑問視する声もある。「これでスペインの金融システムに対する不安が払拭されたとは言い切れない」(中空本部長)。

 利回りが落ち着いている最大の理由は、後ろに欧州中央銀行(ECB)が控えていることである。ECBは9月6日に発表した新国債購入策で、必要とあらば“無制限”の買い入れを行うとした。

 この新国債購入策では、対象となる国はまず欧州安定メカニズム(ESM)に支援要請を行い、財政再建や構造改革などを約束することが条件とされているが、緊縮財政で不況にあえぐスペインは、支援要請に二の足を踏んでいる。

 しかし、ECBのアナウンスメント効果だけで市場を抑え込むのにも限界がある。早晩、スペインは支援要請に追い込まれると、多くの市場関係者は予測する。

 引き金となり得るのは、前述のスペインが抱える問題に関連して何らかの悪材料が出ること、そしてギリシャのユーロ離脱懸念の再燃である。ギリシャの支援交渉は、条件となる135億ユーロの追加緊縮策や、目標達成期限の2年延長をめぐって難航しており、決着は「年内でもつかないかもしれない」(田中理・第一生命経済研究所主任エコノミスト)状況だ。