超訳 孫子の兵法Photo:PIXTA

「孫子の兵法」は、欧米のビジネス・スクールでも「戦略書の原典・原点」として取り上げられる、ビジネスパーソン必読の実益書だ。東洋思想研究者・田口佳史氏の著書『超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール』からの抜粋で、現代のビジネスシーンに当てはめ孫子の教えを超訳した、「ビジネスで勝つ」テクニックをお届けする。

負ける理由は必ず「自分」にある

兵に走る者有り、弛む者有り、陥る者有り、崩るる者有り、乱るる者有り、北(に)ぐる者有り。凡そ此の六者(りくしゃ)は天の災いに非ず、将の過(あやまち)なり。
負ける理由は大別して6つある。総じて言えるのは、自分で自分をコントロールできていないことだ。

 会社が悪い、社会が悪い、上司が悪い、部下が悪い、家族が悪い、友人が悪い……思い通りにいかないと、すぐに他者のせいにする人が少なくありません。

 本当にそうでしょうか。孫子はここで敗北を招く理由を6つ挙げています。具体的には、兵士のなかに「走る者」「弛む者」「陥る者」「崩れる者」「乱れる者」「逃げる者」がいると負けると言い、そういう兵士が出るのは将軍の過失だとしています。

 その将軍と兵士を「内なる二人の自分」、つまり司令官たる自分と行動する自分に置き換えると、ここがまたおもしろい。孫子が「負ける理由はすべて自分にあるんですよ」と言っているように思えます。

 これら6つの負ける理由を一つひとつ、見ていきましょう。