いつからでも人生は変えられる
川原:いきなり完全ゼロにするのではなく、少しずつ割合を変えていけばいいと思っています。自分がときめいていられる環境や時間、人間関係の割合を、無理ないペースで増やしていく。すると、全体の幸福度を上げることができます。
水野:なるほど。そうやっているうちに、ふと転職のタイミングが訪れるかもしれないし。
川原:はい。動く時って、もう動かざるを得ない状況に追い込まれて決断したりするんです。きっと、水野さんが本を書こうと決めたときも「これをやるしかない」というタイミングだったと思うんです。
そういうときには、自分の中に眠っていた力が起き上がって、周りも驚くくらいの本領を発揮します。
自分らしく生きられる環境は突然やってくる。そのときに、怖じ気づかない自分にしておく準備は必要です。あとはやっぱり、「あなたならできるよ」と言ってくれる人の存在があると思い切って挑戦できます。
水野:たしかに勇気を振り絞って新しい環境に飛び込もうとするときに、自分を認めてくれる人がいるかどうかってすごく大事ですね。
川原:僕にとっては麻理恵さんがその人だったんです。
2013年に彼女の仕事を手伝うようになった頃、僕は一介のサラリーマンで、しかも卓越した成果を出していたわけでもなく、給料もそこそこ。
そんな僕に対して、彼女は最初から「あなたはすごい人」と言い続けてくれたんです。
僕自身はまったくそうは思えなくて、すでにミリオンセラー作家になっていた麻理恵さんに対して、「僕とは違う世界にいっちゃたな」と見上げていたくらいです。
それでも彼女は一点の曇りもなく、「あなたのほうがすごい人だから。世界を変えられる人だから」と言い続けてくれた。その数年後には、本当に僕の役割は一変していました。
当時は想像できなかった未来を、地球上で最初に信じてくれた人。僕にとって近藤麻理恵さんはそんな存在なんです。
水野:感動しました。「地球上で一番最初に信じてくれた人」という言葉にとても感動しています。自己肯定感を育てる重要性が注目される中で、親の役割についてはよく言われますが、子どもは親を選べないし、多くの人にとって「もう手遅れ」だったりするんですよね。
今の川原さんのお話は、自己肯定感を高めてくれる出会いは20歳を過ぎても起こり得るというエピソードで、非常に希望を感じられますね。
川原:人生を変えるタイミングは、何歳になっても訪れるものだと思います。
ケンタッキーの創業者、カーネル・サンダースなんて、ずっとボロボロな人生を生きてきて、フライドチキンのレシピを考えて、認めてくれる人に出会えたのが60代後半のことでした。
止まらず動き続けていれば、きっとどこかで誰かと出会える。多くの人は、「自分なんて」と途中で動くのを止めてしまうから出会えないだけです。それは、もったいないですよね。
自分を信じてくれる人と出会えたら、その後はそんなに難しくないんじゃないかというのが、僕の体験から感じていることです。
水野:今の話を聞いていて、またいいことが思い浮かんだんですけど、言ってもいいですか。
川原:なんか既視感ある展開ですね(笑)。どうぞ。