東日本大震災の被災者に寄り添う
天皇両陛下のお言葉

 そして、私は東日本大震災のとき、『文芸春秋』の編集長でした。震災は3月11日。雑誌の発売日は10日ですから、1カ月遅れで、大特集をつくらねばなりません。

 金曜の震災のあと月曜に編集部に集まって、編集会議を行いました。

 部員の声として出たのが、「天皇陛下からのお言葉がすでに出ています。もっと詳細に文芸春秋に語っていただけないでしょうか」というものでした。その折は、正直「ダメで元々」という気持ちで、川島侍従長のアドレスを知っている部員からお願いしました。ところが、ほとんど二つ返事でお返事をいただいたのには、驚きました。

 お言葉は発表されたものがすべてなので、それを雑誌に掲載すること。そして、このあとの両陛下の言葉や行動は逐一、川島裕侍従長が書いて原稿として発表としていい、というお話でした。

 まだ余震が続き、不安に慄く日本国民には陛下の存在は本当に心強く響いていたと思います。原稿は数日おきに送られてきて、ゲラを戻すとさらに書き加えられていました。両陛下が国民を想い、細心に書き加えていただいていると感じた日々でした。

 2回にわたって天皇皇后両陛下のお気持ち「東日本大震災 天皇皇后両陛下の祈り・天皇皇后両陛下 被災地の祈り」を文春に掲載できたことは、文春にとっても大変ありがたいことでした。