透析回避のためにも
専門医をしっかり選びたい

「生命予後を考えるなら、断然長時間透析がいいんです。しかし、提供できている施設は少ないですね。なぜかというと、1日4~5時間の透析にして、1つのベッドを午前、午後、準夜で3回転させた方が効率よく、利益率もいいからです。

 うちはベッド数を増やし透析時間を長くして、1日2回転にしています。利益が減っても、患者さんが長生きしてくれたほうが将来的にはいい。患者さんとわれわれはウインウイン。スタッフも楽だと思いますよ、急変が少ないので」

 血液透析では、健康な人の腎臓が24時間休まず働いて行っていることを、人工的に短時間で行うため、血圧の上昇や低下、痙攣、意識障害、出血、不整脈等さまざまな自覚症状や他覚症状(客観的にとらえることができる症状)が出現しやすい。スタッフは、そうした急変に備えて待機し、対応しているのである。

「他の病院の透析室は結構忙しいと思いますよ。患者さんの急変に、随時対処しなければなりませんから。うちは長時間透析が主流なので、急変が少ない、静かな透析室です」

 今後も、長時間透析、在宅血液透析共に普及させていきたいと考えている菅沼院長は、長時間透析や在宅透析の研究会に参加し、『第11回長時間透析研究会』では大会長も務めた。

「患者さんたちにも透析についてもっと知ってもらうために、僕が参加している研究会は、患者さんも出席できるし、壇上に立って講演してもらう機会も提供しています。だいだい普通の研究会は、医療従事者だけで患者さんたちは蚊帳の外というのが通常ですが、僕らは違う」

 透析導入患者の原疾患で最も多いのは糖尿病腎症(全体の45%)、以下、慢性糸球体腎炎(約20%)、腎硬化症(約10%)と続く。

「糖尿病が原因で腎臓を悪くする患者さんも多いので、うちは糖尿病内科も標榜しています。日本糖尿病学会専門医が診ているのですが、何年たってもぜんぜん透析になりません。要するに、専門医にかかることがいかに大事かを痛感します。

 腎臓病にしても、糖尿病にしても、専門医がきちんと診ると、そう簡単には透析にはなりません。

 世の中には透析を行っている施設は非常に多く存在し、どこも同じような治療をしていると皆さん、思っているでしょうが、それは大きな間違いです。レベルに大きな差があるので、患者さんにはしっかりと見極めて、選んでいただきたいです」

(監修/「腎内科クリニック世田谷」院長 菅沼信也)

◎菅沼信也(すがぬま・しんや)
「腎内科クリニック世田谷」院長。国立旭川医科大学卒業と同時に東京女子医科大学病院腎臓内科に入局し腎臓病及び透析医療に一貫して携わる。東京女子医科大学病院での研修後、新宿石川病院内科、東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター、東日本循環器病院(現海老名総合病院)腎・膠原病センター勤務を経て2008年、保存期慢性腎不全に対する加療に加え維持透析も可能な施設「腎内科クリニック世田谷」を開設。東京女子医科大学腎臓病総合医療センター血液浄化療法科 非常勤講師。臨床腎臓病学を専門とし、特に慢性腎不全(Chronic Renal Failure:CRF)の治療を得意分野とする。