外交におけるワクチンの重要性
「交渉のカード」として有効

 国内のワクチン政策が軌道に乗るにつれ、イスラエルは外交交渉においてもワクチンを使い始めた。先日もイスラエルが関係強化を望む国に対して「国内の余剰ワクチンを供給する交渉に入った」という報道が出たばかりだ。

 その中には、イスラエルの首都をエルサレムと認めたホンジラスやエルサルバドル(日本を含む世界の多数派がイスラエルの首都をテルアビブとして在外公館を置いているが、米国や中南米諸国の一部はエルサレムを首都と認めている)、イスラエルと国交のないモーリタニアなどが含まれている。

 また、シリアで人質になったイスラエル人の解放の交換条件として、イスラエル政府が持つワクチンを提供するという線で交渉がなされたという報道もある。

 相手国によってはワクチンが「交渉カード」としても十分に有効だという証左といえよう。

 今後とも、ワクチン接種の知見を十分に有する国として、イスラエルの世界的なプレゼンスは高まっていく可能性が高い。

ワクチンから
取り残されるグループ

 その一方で、ワクチン供給を進めるイスラエル国家の枠組みから取り残されているグループも存在することも見逃せない。

 その筆頭はパレスチナ人だ。1993年にイスラエルとパレスチナ自治政府間で結ばれたオスロ合意で、行政権はパレスチナ自治政府の管轄とする、という取り決めがなされた。イスラエルはこれを根拠に、パレスチナ自治政府が自前でワクチンを調達することを主張している。