現代社会が抱える課題に、強い意志と行動力と共に向き合う若者たちは、どのように育ってきたのか。今回は環境活動家の露木志奈さん。幼稚園時代からユニークな教育環境に身を置き、高校はインドネシアのバリ島にある“世界一エコな学校”に留学。現在は地球温暖化などの環境問題について、小中高生を対象にして講演活動を続けています。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)
箱根八里が卒園遠足
原体験はトトロ幼稚舎
――どんな家庭で育ちましたか。
兄と妹、弟の4人きょうだいで、3歳の頃から母子家庭です。お母さんの実家が代々、横浜の中華街の中で郵便局を経営していて、そこに住んでいました。
お父さんがいればよかったと思ったことは一度もないです。それくらいお母さんは愛情を注いでくれました。実の父は、本当かどうか分からないけど、本人が言うには元ホームレス。家族に愛されずに育って、でも這い上がって、今は企業を経営しています。
私は4人きょうだいの中でも、特に活発に行動するタイプで、歩き始める前に、ロッククライミングのようにしてキッチンによじ登っていたそうです。お母さんは私を中国雑伎団に入れようと考えたらしいのですが、中華街の中にもそういった団体はなかったみたいです。でも、バレエやダンス、水泳、体操、ロッククライミングなど、やりたいと言ったことはなんでもやらせてくれました。
――幼稚園がユニークなところだったそうですね。
トトロ幼稚舎というんですが、ここは超楽しかったです。
私が自然大好きなのは、確実にここでの体験のせいです。
家から幼稚園のある杉田(横浜市磯子区)までの10キロメートルくらいは、自転車で通っていました。園に着くと毎日、山に連れて行かれて、まきと飯ごうでご飯を炊いたりしました。園児も包丁を持って料理します。卒園遠足では神奈川・箱根湯本から静岡・三島まで箱根八里(約32キロメートル)を歩きました。
ここは園長先生自体が面白いんです。子供は自然に放り投げておけば勝手に育つという考えの人で、「歩く速さで生きてほしい」とか、子供には簡単に理解できないようなことも普通に言っていました。